日本企業が直接的に影響を受けている対象7選
◆原油
世界の原油需要は1日当たり1億バレルといわれる。本稿執筆時点では、イラン戦争によって約1000万バレルの生産や出荷が減少していると報じられている。つまり約10%だ。この状況が、ただちにオイルショックのような事態を引き起こすわけではない。日本は国家備蓄が豊富にあり、他のアジア諸国にくらべるとまだ影響を受けにくい。
◆LNG(液化天然ガス)
イランからの攻撃を受けたカタールの被害が深刻だ。カタールのLNGは、歴史的に日本企業、特に中部電力と静岡ガスが社運をかけて開発・支援したといっても過言ではない。カタールは世界のLNG生産・輸出の約20%を担う。ホルムズ海峡で止まれば、世界への供給はとまる。
◆ヘリウム
意外な盲点といえるだろう。ヘリウムはLNG生産の過程で製造される。半導体ウエハー冷却や露光などに使われる。医療機器のMRI、防衛機器やロケットにも使われている。半導体を使わないスマホ、家電、自動車はないから、これらの生産が遅延する可能性がある。
筆者が聞く限り、現状で最も深刻なのがヘリウムだ。戦争の影響なく中東を出発したヘリウムが工場に到着するのが3月末~4月上旬。プラス在庫をどれくらいで使い切るか……。半導体各社はただちに影響はないとするものの、戦争の長期化次第で命運が決まる。
◆アルミニウム
中東で世界生産の約20%を占める。バーレーン、カタールなどの主要な生産拠点で生産停止。再稼働時期は未定。一説には6~12カ月かかるとの情報も。
◆肥料
ヘリウムよりもさらに意外だったのは肥料か。というのも、世界の肥料貿易の30%ほどがホルムズ海峡を経由している。足元の国際市況では、尿素の価格はこの数週間で5割も上昇している。
◆医薬品原料
中国に並ぶ、あるいはそれ以上に「世界の薬局」と称されるほどインドは医薬品の製造で知られる。そのインドへの原料コストが急増。船舶や航空貨物の運賃も上昇している。
◆クラウドコンピューティング
UAEとバーレーンにあるAWS(Amazon Web Services)データセンターがイランから攻撃を受けた。関係者にショックを与えたのが、その理由をイラン革命防衛隊は、米軍が契約しているAIを動かしているサーバーだから、とした点だ。
これは二重の意味で衝撃的だった。サーバーは民間事業であり、戦争では民間事業は標的にしないはずだ。しかし、これまでの理屈が通用しないようだ。さらにBCPの観点でいえば、クラウドであっても安心ではなく、二重化する必要性を見せつけた。コストが膨らむばかりである、と。







