「フォアボールを出すぐらいなら、ヒットを打たれたほうがいい。ド真ん中に投げていけ」

「打たれても命まで取られるわけじゃない。気楽にいけよ」

「ランナーを出しても、ホームに還さなければいい。6イニング、3点まであげていいぞ」

 他のピッチャーはどうかわかりませんが、僕の場合、マウンドではあまり深く考えすぎることはないのです。

 前回の先発から1週間、相手バッターのデータを前もって研究します。「どうやって打ち取るか」のシミュレーションをして、その球種を投げる「根拠や裏づけ」があるわけです。綿密な準備をして、先発マウンドに臨んでいるのです。

 いざ本番を迎えて「打たれるのではないか」と迷いながら投げると、僕の場合、好結果が出ない傾向にあります。ここまで来たら、なるようにしかならないと腹もくくれています。

 最近は特に「打たれないぞ!」というプラス思考で、あとは対決を楽しむだけです。言ってみれば、これが、僕がマウンドで「緊張しないマインド」を作り出すための秘訣ですかね。

 僕は「根性論」などを考えないタイプです。先にバッターの特徴や仕草に目が行くので、いろいろ観察しながら、ある程度冷静に投げていくタイプだと思います。年々冷静になれている気がします。

 たとえば、同点の9回裏2アウト満塁、3ボール2ストライクのフルカウント。どんな気持ちで投げると思いますか?

「フォアボールで押し出しサヨナラ負け」というのが一番嫌なので、まずこのリスクを回避することを考えます。単純に、自分が「ストライクを投げられる球種」を選択します。

 次に、自分が「自信を持って投げられる球種」であれば、強いボールを投げられます。なぜその球種を選んだかの「根拠や裏づけ」があれば、より質の高い、レベルの高い対戦になると思います。

 自分がカーブのコントロールに自信があり、そのバッターが遅い変化球を苦手にしている、などの根拠や裏づけです。