3割バッターでも
7割は打ち損じてくれる

 メンタル的に考えれば、バッターは10打席でヒットを3本打てる「打率3割バッター」なら一流です。逆の発想をすれば、10回に7回も凡打してくれると思えば、ピッチャーはすごく楽なメンタルになれます。

 思えば、打率4割に迫ろうとしたあの打撃の天才・イチローさん(オリックス・ブルーウェーブ→シアトル・マリナーズほか)だって「6割は失敗できる」と言ったのです。要は、リラックスする「気の持ち方」「心の持ち様」だと思うのです。

 だから、そういう極限の場面に置かれた高校、中学のピッチャーたちには、「バッターは7割を打ち損じてくれる。気楽にいくんだ」という考え方も、1つありだと思います。

 ほかに、野球においてプレッシャーがかかるときというのは、優勝争いや、その試合の勝敗の重要な局面。やはりマウンドにいる自分には、それなりにプレッシャーがかかるものです。

 注意をしていても、フォアボールを出してしまったとき。警戒していても、ヒットを打たれて相手に点を取られたとき。「(ナーバスな)気持ちを切り替えろ」とは、よく言われるものです。

 点を取られる前は当然取られたくないわけですし、1点取られたことによって、ゲーム展開は不利に傾くかもしれません。しかし、完全に負けてしまったわけではないのです。

 点を取られた「事実」はもう仕方ありません。打たれた「過去」は取り戻せません。しかし、まだ試合は続いていて、それ以上傷口を広げないことが、次にまず大事なのです。

「こちらの攻撃も残っている。あきらめないぞ。たとえ負けを喫しても、次回にこの悔しい経験を活かすんだ」。そんな考え方をします。

興奮しすぎても冷静すぎても
いいパフォーマンスは出せない

 メンタルについての専門家から聞いたことがあります。

「興奮と抑制の両極端があったら、『ピークパフォーマンス』と呼ばれる集中力のベストな状態は、その真ん中にある」

 その言葉通りではないでしょうか。