プロ野球は、基本的に金曜日から始まり、3連戦×2カードの6連戦単位です。だから「先発ローテーション」とは、各球団とも6人の先発ピッチャーが、月曜の移動日を挟んで、次の週も同じ曜日に投げていくものです。

 当然、翌週、その次の週も他球団の開幕投手に当たります。雨天中止などで登板日が少しズレても、別のエース級ピッチャーと当たることが多いのです。相手打線も「エースを打ち込もう!」とばかり、気合を入れて向かってきます。

「金曜日に勝つ」重要性を
投げてみて改めて痛感

 僕は開幕戦から「金曜日に投げる」ことの「やりがい」を感じながらピッチャープレートを踏みました。エース級同士の「つぶし合い」の金曜日に僕が勝てば、巨人が勢いに乗れるわけです。

 裏を返せば、僕が負ければ相手エースに勝ち星が付いて、より相手チームを勢いづかせてしまうことになります。

 つまり、「金曜日」が機能的に回ればチームの順位も必然的に上がります。その重要性は2024年の1年間金曜日に投げてみて、改めて痛感しました。

 振り返れば、開幕投手を通達されたのは2023年11月30日、都内ホテルで開催されたイベントでした。トークショーのコーナーで、新監督就任の阿部慎之助監督が聴衆の前で公言したのです。

「(戸郷)翔征は、誰もが認めるリーダーになってきました。来年の開幕戦、東京ドームでの阪神戦に投げてもらいます。勝ったときはもちろん、特に負けたときは、自分の言動すべてをチームメイトや後輩たちが見ています。きついけれど、やりがいがあることです。自分の姿で引っ張っていってもらいたいと思います」

 サプライズの通達で驚きましたが、光栄でした。「開幕投手」はプロ野球では1年に12人しか存在しません。「この1年、エースとしてがんばっていってくれ」という信頼の証です。

 ジャイアンツの90年の歴史を見ると、開幕投手は名だたる名投手が務めています。それだけに、重責と重圧を感じました。その末席に僕も加えていただけるのは幸せなことです(※注2)。

※注2 25年現在、巨人の主な開幕投手=堀内恒夫6度、江川卓4度、西本聖4度、斎藤雅樹6度、桑田真澄3度、槙原寛己2度、上原浩治7度、内海哲也3度、菅野智之8度。