「シトロエンC3」の3つのミッションとは?

 今回お届けするのは、新型シトロエンC3の試乗記である。

 C3は派生モデルを含めると、シトロエンの世界販売台数の実に3割から4割を占める「シトロエンの命運を握る」最重要モデルである。

 2002年の初代登場以来、全世界で560万台以上を販売し、特に先代はデザインの刷新が当たって、シトロエン史上最高のヒット作となった。

 C4やC5 Xなどの上位モデルで培ってきた「PHC」(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)や「アドバンスト・コンフォートシート」などを安価に提供することにより、「シトロエン=快適」というブランドイメージを広め、定着させる重要な任務を負っているのがC3だ。

独自の多層構造を採用したアドバンスト・コンフォートシート。PHCとのマッチングにより、徹底的に「揺れ」を抑制している独自の多層構造を採用したアドバンスト・コンフォートシート。PHCとのマッチングにより、徹底的に「揺れ」を抑制している Photo by F.Y.

 基本的に安価なクルマは利益が薄い。C3はBセグメントという典型的な「薄利多売クラス」であるからして、スロバキア工場などで徹底したコスト管理を行って利益を確保している。C3はシトロエンブランド全体の開発資金を稼ぎだす「キャッシュカウ(カネの成る木)」としての役割を担っている。

「ブランドの入口」「キャッシュカウ」。C3にはこの2つのほかにもう一つ重要な任務がある。それは「欧州EV市場の防波堤」だ。新型C3は、「e-C3」なるEVを主軸に、2万5000ユーロを切る低価格で発表された。これはもちろん安価な中国製EVの流入に対抗するためだ。新型C3は、「欧州車最後の砦」としての政治的な役割も担っているのだ。

顔が変わり、新ロゴになり、ディーゼルモデルがなくなった

 4代目となったC3は、従来の丸みを帯びたフォルムから一転して、昨今流行の垂直に近い“絶壁顔”のフロントマスクと、高い地上高(先代から実に100mmもアップしている)を持つ、力強いSUVスタイルに生まれ変わった。またシトロエンの新しいブランドロゴを採用している。

左上が旧型C3、左下が新型C3。新型C3では、シトロエンの新しいロゴ(右)が採用された左上が旧型C3、左下が新型C3。新型C3では、シトロエンの新しいロゴ(右)が採用された(広報写真)

 技術面での最大のトピックは、これまでC4以上のクラスにしか採用させなかったPHCサスペンションを、エントリーモデルであるC3に全車標準装備したことだ。いわば「魔法の絨毯」の民主化だ。

 また欧州市場では電気自動車の「e-C3」を主軸に据えつつ、48Vマイルドハイブリッドモデルを展開している。長年親しまれたディーゼルはラインナップから完全に姿を消した。欧州でディーゼルは文字通り「風前のともしび」だ。