定年を見据えて、50代から準備しておくことが大切
鵫巣さんが『50代からの人生をマネジメントするドラッカーの問い』を執筆するきっかけとなったのが、『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット著、東洋経済新報社)の衝撃だった。
鵫巣 『50代からの人生をマネジメントするドラッカーの問い』を書いた大きなきっかけは、『LIFE SHIFT』を読んだときの衝撃です。その本では、人類はいま経験したこともないような長寿命化の真っ只中にいて、それを理解して準備した人と準備しなかった人とでは、長寿命化が恩恵になるか不幸の種になるかの大きな違いが生まれると述べられていました。そこで、「長寿命化社会において、定年とはいったいどのような意味を持つのか?」という問いが、私の中に生まれました。
鵫巣さんは、「定年は年齢を理由にした解雇と同じ」であり、来(きた)るべき定年を見据えて、50代から準備をしておくべきと説く。
鵫巣 賛否両論あると思いますが、私は長寿命化社会において「定年は年齢を理由にした解雇と同じ」と捉えたほうがいいと考えています。企業が決めた年齢に達したときに、企業から雇用契約を打ち切られるわけですから、事実上の解雇にほかならないという意味合いです。ただし、定年と解雇の決定的な違いがひとつあり、それは「定年は、何年も前からわかっている」ということです。つまり、十分な準備期間があるということです。それにもかかわらず、十分な準備をしないまま定年を迎えてしまう人は少なくありません。そういった人は、定年後の選択肢が限定されてしまいます。そうならないためにも50代から準備をしておくべきでしょう。
鵫巣さんは、「会社という温室からできるだけ早く外に出るべき」と強調する。会社という恵まれた環境の中で何年も過ごすと、会社がすべてをお膳立てしてくれるものと勘違いしてしまう。そのことが大きなリスクになるという。
鵫巣 定年に向けての準備については、「会社という温室からできるだけ早く外に出るべき」とアドバイスしたいです。これは転職すべきということではなく、社外のセミナー参加でもボランティアでも越境学習でも何でもよいので、会社以外のコミュニティに早い時期から参加したほうがよいという意味です。多くの方々と話をしていて、「会社と家族・親族以外のコミュニティはほぼありません」という人が多いと感じています。ドラッカーも『マネジメント』の中で、「自らの人生、組織の外での人生を40代半ばまでには始められるようにしなければならない。組織に依存し、組織での次の昇進を心待ちにし、組織に新しい仕事を期待するのではなく、自らの人生を自らの手で作れるよう、人間として成長することは自らへの務めである」と述べています。








