“ドラッカーの問い”で、50代からの人生をマネジメントする方法

人生100年時代となったいま、ほとんどの人が定年後も職業キャリアを継続させる。一方で、十分な準備を行わないまま定年を迎えてしまい、定年後のキャリアを不本意なものにしてしまっている人も少なくない。人生の後半戦を充実させるためには、どのような準備が必要なのか? 書籍『50代からの人生をマネジメントするドラッカーの問い』の著者であり、ドラッカーマネジメントナビゲーターとして活躍中の鵫巣和徳さんは、「知の巨人ピーター・ドラッカーの問いの中にこそ、人生の後半戦を充実させるヒントがある」と言う。鵫巣さんに話を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)

「ドラッカーマネジメントナビゲーター」になった経緯

 鵫巣(とうのす)さんがドラッカーマネジメントと出合ったのは2003年。偶然、書店で手にした一冊の書籍だった。

鵫巣 私がピーター・ドラッカーの書籍を初めて目にしたのは、建材メーカーに勤務していた43歳の頃(2003年)です。立ち寄った書店で『ドラッカー名言集 仕事の哲学』を、偶然、手に取り、ペラペラめくって読んだときに、「うわぁ、これ何だ?」と惹き込まれました。そして、『現代の経営』を購入して読み始めたところから、私のドラッカーの学びがスタートしました。

 ドラッカーは“実践”を重視していたため、鵫巣さんも書籍で学んだドラッカーマネジメントを仕事で実践しようとしたが、悪戦苦闘したという。

鵫巣 建材メーカーで経営層に入ったとき、ドラッカーマネジメントを実践しようとしました。しかし、私一人が声高に訴えたところで、社長がコミットメントしないと組織は動かないことが、はっきりわかりました。(私が)建材商社の社長になったときにもドラッカーマネジメントを実践しようとしましたが、今度は逆の立場で、社長である私が一人で旗を振っても経営層がついてこない状況に直面してしまいました。

 鵫巣さんは2021年に独立したが、いきなり「ドラッカーマネジメントナビゲーター」の活動を開始したわけではなかった。鵫巣さんが「ドラッカーマネジメントナビゲーター」になった経緯は……。

鵫巣 ドラッカーマネジメントと並行してコーチングも学んでいたので、ドラッカーの教えを広めたいと思いながら、最初はコーチとして独立することにしました。その一方で、ドラッカーを学び続けていながら、「マネジメントとはいったい何か?」ということが自分の中でしっくりこないことにモヤモヤしていました。そこで、『マネジメント』の上・中・下巻を読み返し、上巻の前書きに目を止めました。そこには「組織が高度な成果を上げることで、個人も自己実現を図ることができ、それによって自由で民主的な社会を作っていくこともできる。それをなさしめるのがマネジメントの力だ」といった主旨のことが書かれていました。それを読んで、「マネジメントとはいったい何か?」ということが初めて腹落ちしました。

 同時に、「このドラッカーのマネジメントの考えを広めていきたい」という思いが芽生えました。「マネジメントって何ですか?」と聞くと、「ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を有効に活用して成果を上げること」のような答えが多く返ってきます。それは必ずしも間違いではないのですが、その前提にある原理原則やマネジメントを発明したドラッカーの想いというものを、もっと多くの人に知ってもらいたいと強く思うようになったのです。こうして、「ドラッカーマネジメントナビゲーター」としての活動が始まりました。現在もコーチとしての仕事もしていますが、ドラッカーマネジメントナビゲーターのほうが本業になっています。

 ドラッカーマネジメントナビゲーターとしての役割は、ドラッカーに興味を持った人をドラッカー山脈の麓(入口)まで連れてくることだと鵫巣さんは言う。その活動として、読書会の開催やメルマガ配信がある。

鵫巣 ドラッカーに興味を持って書籍を読み始めても、「難しくて最後まで読めませんでした」と多くの人が途中で挫折してしまいます。そこで、ドラッカーマネジメントナビゲーターとしての私の役割は、ドラッカーという非常にスケールの大きな思想体系、いわゆるドラッカー山脈の入口までお連れすることだと思い、活動しています。読書会は『経営者の条件』に絞って実施しています。『経営者の条件』が読めると、多分、どのドラッカー本も読めるのではないかと思うので、『経営者の条件』を一通り読むことができたならば、ドラッカー山脈の入口までお連れすることができたと認識しています。メルマガの配信は3年間で約500本になりますが、ドラッカーの話題をわかりやすくお伝えするようにしています。

鵫巣和徳

鵫巣和徳  Kazunori TOHNOSU

ドラッカーマネジメントナビゲーター

1960年東京生まれ。中央大学卒業後、建設資材メーカーの田島ルーフィングに入社。35年間の勤務後、建設資材商社の化研マテリアルで4年間社長を務める。38歳で新規事業の責任者となり、顧客の潜在ニーズを先取りしたヒット商品を生み出しながら組織の活性化に取り組み、翌年から14年間連続増収を達成。2003年からドラッカーマネジメントを学び始め、経営の現場で実践しながら増収を続ける。机上の知識ではなく現場での実務経験を通じて、ドラッカーマネジメントは社会において人が幸せに生きるための原理原則だと確信し、ドラッカーの教えを広めたいとの想いから2021年に独立。現在はドラッカー思想をベースにしたコンサルや読書会を開催し、ドラッカーの教えをわかりやすく伝えながら、組織も個人も成果をあげることができるようにナビゲートする活動を展開中。青空企画代表。著書『50代からの人生をマネジメントするドラッカーの問い』(2025年10月 ソシム刊)