生まれてから服を1着も買ってもらったことがなかった僕が、小学校5年生のとき、両親に「ゲームも服もいらないから、その分、本を買いたい」と告げました。幸いなことに、両親も読書家で、家は常に大量の本に囲まれていました。だからこそ、僕の提案を喜んで受け入れてくれたのです。それからは、自主練習が休みの月曜日になると、自転車を走らせて本屋さんへ向かうのが僕の習慣となりました。
最初は野球の本だけを読んでいましたが、中学生になる頃には、興味の幅は自然と広がっていきました。生理学や解剖学の本を手に取り、ときには小説の世界に没頭することもありました。
読書で鍛えられるのは
「物事をまとめる能力」
メジャーリーグに来てからは、なかなか日本の本屋さんに行く機会がありません。そのため、年に一度の日本への帰国が、僕にとっては何よりの楽しみになっています。本専用のスーツケースを用意し、大型のスーツケースに100冊近い本を詰め込んでアメリカに戻るのです。
メジャーリーグの生活は飛行機やバスでの長距離移動がつきものです。そんな環境では、オーディオブックでの読書も増えました。眼精疲労が肩や首の痛みに影響することもあるため、目を使わずに知識を吸収できるオーディオブックは、アスリートにとって非常に重宝するツールなのです。
では、僕が考える読書の最大のメリットとは何か。それは「物事をまとめる能力」が鍛えられることです。
さまざまな情報に目を通しながら「つまり、こうだよね」と、物事の本質をシンプルに要約する能力が向上します。300ページ近い分厚い本の内容を、自分なりの言葉で「消化」する。この消化のプロセスこそが、何よりも大切です。昨今では、1冊の本を数分で要約してくれる動画やサイトが溢れています。もちろん、それらも便利ですし、知識はつきます。しかし、それでは「まとめる能力」そのものは鍛えられません。







