1000円台のモノは持ち運ぶことを前提としており、外出先でも気兼ねなく使える、コスメのようなデザイン性を重視する側面があります。実際のプラーク除去効果は手用ブラシとそれほど大差はありません。

 また、安さの落とし穴は「ランニングコスト」にあります。購入の際には「替えブラシの価格」もチェックしましょう。ブラシの価格が高い製品を選ぶと、逆に割高になることもあります。

 一方で、高価なモデルは「AIが磨き方をコーチングする」や「スマホアプリで磨き残しを可視化する」といった機能が搭載されています。これらは付加価値であり便利な機能ですが、電動歯ブラシそのもののプラーク除去効果が高くなるわけではありません。購入の際には、「価値ある投資か?」を考慮する余地があると言えるでしょう。

歯科医が本当に勧めたい
電動歯ブラシ3選

 さて、「結局どれを選べばいいの?」と迷う人も多いでしょう。そこで、歯科医師が実際に使ってみて、「プラーク除去効果」「使いやすさ」「コスパ」を総合的に判断しておすすめといえる歯ブラシを厳選してみました。

 1つ目は、音波振動式のソニッケアーの「歯科専売モデル」です。家電店で売られているモデルよりも機能が削ぎ落とされ、プラーク除去効果にフォーカスを当てています。ただし、作動時の飛沫が著しいので、感染リスクや洗面所の掃除には注意が必要です。

 2つ目は回転式のブラウン、オーラルBの「ミドルレンジモデル」です。最上機種でなくとも、堅実な清掃性が備わっています。歯の1本1本を意識しながらしっかりと磨けば、プラーク除去の効果は高いでしょう。

 3つ目は、CURAPROX(クラプロックス)の「ハイドロソニック」です。スイス生まれの音波振動式電動歯ブラシで、簡単な操作で歯と歯ぐきをしっかりとケアするのが特徴。振動と歯ブラシの質が良く、シンプル操作で使いやすく、汚れを根こそぎ取ってくれる感覚です。

電動歯ブラシでは「できないこと」
歯周病対策の主役ではないワケ

 電動歯ブラシ選びで最も大切なのは、「できること」ではなく「できないこと」に目を向けることです。つまり歯周病の主戦場となる歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)の深部の清掃について注目しましょう。

 一般的な手用歯ブラシよりも歯の「表面」清掃率が高いのが電動歯ブラシですが、日本歯周病学会では歯周病対策の「主役」とはしていません。それは、電動歯ブラシで歯周ポケットや歯間部のプラークを除去するには限界があるからです。結局、「歯間」清掃用具を併用する必要があります。電動の刺激だけで、ポケットの中の十分なプラーク除去はできません。

 また、どんなに優れた電動歯ブラシでも、「歯石」を除去することはできません。歯石除去は医療の領域なので、電動歯ブラシでは解決できないのです。