石油元売りの卸価格に大きな影響
幅広い参加者の見方が価格形成に反映
石油元売り会社がガソリンスタンドなどに卸す価格は毎週改定されるが、その上昇率は、さまざまな指標を用いて算出される。その中でWTI先物価格と為替レートは、重要なものだ。
WTI原油先物価格とは、アメリカで産出する高品質な原油「WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)」を、将来の定められた期日に、決められた価格で売買する場合の契約価格だ。
WTI先物価格が上昇したり、為替レートが円安に動いたりすれば、多くの場合に元売り価格は上昇する。このため、WTI価格上昇に伴って、ガソリンスタンドなどでのガソリン販売価格が上昇したのだ。
だが、日本が輸入している原油は、そのほとんどが中東産の原油であり、アメリカのテキサス州の原油ではない。また原油の価格指数としては、WTIの他に、ブレント(北海ブレント)や、ドバイ、オマーンなどがある。
ではなぜWTIなのか。ガソリンの元売り会社がWTIの先物価格を重視するのは、それが信頼できる価格指標と考えられているからだ。
第一に、幅広い参加者がいるために、一部のグループが価格を操作しようとしても難しい。つまり、公正な価格が形成されていると考えられる。
ところが、中東の取引所の価格とWTI指数の間には一定の関係があるので、WTIの指数を用いれば、中東産原油の価格についても推定ができることになる。
WTI先物が広く注目されるのは、この市場が世界でもっとも流動性が高く、参加者が多く、価格形成が迅速に行われる代表的な原油先物市場だからだ。
市場参加者が多いということは、多様な情報や見通しが価格に織り込まれるということだ。
需給見通しや地政学リスク、在庫動向、金利、為替などさまざまな要因が先物価格に反映される。そのためWTI先物価格は、アメリカ産原油の価格であるにとどまらず、国際的な原油市場全体の動きを映す代表的なシグナルとして扱われるのだ。
先物市場が現物市場を決める
市場に「厚み」裁定が働き先物主導に
また先物市場が重視されるのは、現物市場より参加がしやすいために、市場が「厚み」を持っており、安定的な価格形成が行われていると考えられるからだ。
現物市場で原油を買えば、購入した原油を運搬し、それを備蓄しておかなければならない。だから、誰でも参加できるというわけではない。原油の現物取引を行えるのは、ごく限定された人や企業だろう。
それに対して先物市場の場合には、単に契約をするだけで済むので、容易に取引に参加できる。例えば、金融機関やファンドでも簡単に参加できる。つまり、市場参加者の数が圧倒的に多いのだ。このために、非常に大量の情報を基に、価格形成が行われていると考えることができる。
先物市場は「派生市場」といわれることもある。この言葉から、現物の市場が基本的な市場であり、先物市場は二次的な存在であるというイメージを持ちやすい。本来の市場は現物市場であり、それから発展し、それを補完するものとして先物市場があると考えやすいのだ。
しかし実際には、そうした“主従関係”は存在しない。







