もし、周りへの関心が薄いBさんが、結果的に情報を独占していたとします。それによって、他のメンバーの仕事が二度手間になっていたり、不適切な判断をしていたりしたら、それは運営上の問題として対応する必要があります。ただし、そのときにも適切な方法があります。
人が行動を起こすための動機には、内発的動機と外発的動機があります。前者は、好奇心や使命感など、自分の内側から湧いてくるものです。後者は、報酬や責任・義務など外から与えられるものです。
この例では、Bさんには情報共有への関心、すなわち内発的動機はなさそうです。あれば、言われなくてもやっているからです。したがって、外発的動機に頼るしかありません。
例えば、必要な情報とは何かを定義して、仕事の一環としてチーム内で共有するというルールをつくることです。その上で、できているかどうかを検証しながら、仕事として必要な指導を行います。
仕事であれば評価に関係します。Bさんも自分の評価には関心があるでしょう。関心がない情報共有という行為を、外発的な動機づけでも構わないから、関心がある評価へと結びつけることで行動を後押しするのです。
自分が相手を変えるのではなく
環境によって相手が自分で変わる
最近の“人にやさしいマネジメント”の風潮は、何となく内発的動機が善で外発的動機が悪だという印象を与えるかもしれませんが、それは誤解です。結果責任を負う覚悟で上司が権限を行使することは、チーム運営のプロセスとして必要なものです。
ただし、長期的に安定して、かつ、モチベーションに良い影響を与えるのは、「やりたいからやる」という内発的動機です。そこで、Bさんの情報共有によって自分やメンバーが助かったことを、具体的な事例としてフィードバックするとよいでしょう。
肯定的なフィードバックには、その行動を強化する効果があります。行動の動機が、最初はルールといった外発的なものであっても、徐々に貢献の喜びといった内発的なものへと変化していくことがあるのです。
自分もそうであるように、人にはそれぞれの特性があります。その事実を受け入れながら、「そのような○○さんに、もっと貢献してもらうにはどうしたらよいか?」と考えることが人材活用の第一歩です。
自分が相手を変えるのではなく、環境によって相手が自分で変わる――その力が部下にあることを信じてマネジメントを行うのが優秀な管理職です。








