もし、仮に私に「やりたいこと」があったら、時代に合った生き方はできなかったはずです。「やりたいこと」にこだわってしまって、時代の流れを感じることもできなかったでしょう。
「やりたいこと」がなかったから、なんとなく時代の流れに乗れたのです。
しかも、今後もその傾向はさらに強まっていくと思っているので、なおさら「やりたいこと」に固執しないほうがいいとすら思っています。
人生100年時代に起きる
職業に関する2つの変化
「やりたいこと」がないほうがいい理由は2つあります。
1つは、これからは「人生で職業を複数経験することになるから」です。
100年生きるわけですから、60歳で定年というわけにはいきません。日本の年金制度が崩壊寸前なのはわかりきっていますし、少子高齢化は世界一早く進んでいます。つまり、60歳以降もなるべく長く働くことが必要になるのです。
そして、目まぐるしい時代の変化の中で、必要とされる職業がどんどん入れ替わるので、一生の中でいくつもの職業に就かざるを得なくなります。
2つ目の理由は、「現存している職業が消え、新しい職業が生まれるから」です。将来就く職業が現時点で存在していない可能性も大いにあります。
将来、現在では想像もつかないような職業に就いているかもしれない。そうなると、「なりたい職業」というものが成立しづらくなります。
ある職業に就くために学校で学んでも、卒業する頃にはその職業がないなんてことが起きるのです。
実際、私は出版業界に入り、職業が消えていくのを目の当たりにしました。
私が出版業界に入った当時は、DTP(デスクトップパブリッシング)が普及しきる直前の時期でした。
それまでは写植というアナログな方法で印刷用のフィルムを作っていたのです。
ところがパソコンの普及とともにDTPに主流が移っていきました。当然、写植屋さんと言われていた人たちはいなくなりました。
『豊かな人だけが知っていること 時間貧困にならない51の習慣』(長倉顕太、あさ出版)
テクノロジーによって職種がなくなり、新たなものに取って代わられるのは以前からあったのです。それがより加速していくのが、これからの時代なのです。
だから、「何かを目指すのはナンセンス」なのです。
数年後にはその職業がなくなっている可能性がある中で、特定のものを目指すことに意味がありません。むしろ、「やりたいこと」がないほうが、柔軟に時代に対応できるのです。
もちろん、そんなの関係なく「これがやりたい」というのがあるなら、それは素晴らしいことですし、大いにやってもらって構いません。
私が言っているのは、あくまでも「やりたいこと」がない人向けだということを忘れずに。







