◆休日なのに会社から連絡…社員をうつ病に追い込む職場の危険な実態
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)
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精神科の現場から見える「休めない」現状
今日のテーマは、「つながらない権利」についてです。「つながらない権利」とは、業務時間外には仕事の連絡(メールやLINE、電話など)に対応しなくてよい、という権利のこと。連絡が来てしまうと「対応しなければならない」「いつ連絡が来るか分からない」という状態になるため、これも労働時間として扱うべきではないかという議論があります。
そもそも、この「つながらない権利」について、私たち精神科の現場にいる人間は常日頃から必要性を感じています。うつ病などで疲弊して診察にいらっしゃる患者さんにお話を伺うと、業務時間外でも常に会社用のスマホを持たされている方が非常に多いのです(特にシステムエンジニアの方などに目立ちます)。
土日・祝日などの休日はあっても、「いつ仕事の連絡が来るか分からない」という状態に置かれています。実際、診察室にいる間に会社用のスマホが鳴って対応されていることもあります。
休職中の人にまで連絡が来るという異常な現状
正直なところ、仕事をしていない時間は一切つながらないようにするのが当たり前だと私は思います。「仕事の内容的にそうもいかない」という声もあるかもしれませんが、それは工夫次第でなんとかなることではないでしょうか。患者さんにはもっとしっかり休んでほしいのに、会社用のスマホを持っているせいで全く休まらない状況を見ると、非常に歯痒い気持ちになります。
さらに深刻なのは、休職中の人にすら職場から連絡が来るケースがあることです。「また連絡が来るかもしれない」と怯えたり、久しぶりに来た連絡を見ただけで気分が悪くなり、実際に調子を崩してしまったりする方がたくさんいらっしゃいます。こんなことが当たり前のように起きているのは、明らかにおかしいです。
つながらない時間があるのは当たり前のことであり、本来、時間外につなげてはいけないのです。もし、業務の都合でどうしても連絡がつく状態にしておかなければならないのであれば、それは「当番制」で回すしかありません。そして、会社用のスマホを持って待機している時間も労働として扱い、妥当な対価を支払うべきです。
医療業界の「主治医制」から考える過剰なサービス
担当制についても同じことが言えます。例えばわれわれ医師の業界では、「主治医制」をとることが多いです。もちろん、1人の医師がいつでも対応してくれるのは、患者さんにとっては非常にありがたく、良いサービスでしょう。しかし、それは裏を返せば、その医師に四六時中対応を求めるという、ものすごく深い負担をかけている状態なのです。
内科や外科の先生など、緊急の連絡があってすぐに対応しないと命に関わるような場合でも、常に主治医に連絡がいくシステムになっていることが多いです。これを「当たり前」と思っている方もいるかもしれませんが、決して当たり前ではありません。それは素晴らしいサービスであると同時に、ものすごく贅沢な「オプションサービス」だと私は思っています。
基本的には、担当者が誰であろうと「つながらない時間」をしっかりと確保し、時間外は電話当番などの別の人が順番で対応して、後で担当者に引き継ぐという形にするべきです。それをやらないのは、厳しい言い方になりますが「職場の怠慢」ではないでしょうか。



