あなたの会社の“人事施策”がスベる理由――陥りがちな「4つのパターン」とは?

「人事が、また余計なことを……」「これって、やる意味あるの……?」――人事施策は、しばしば、現場からそんな冷たい視線にさらされる。せっかく、予算や時間を投じて準備をしたのに、経営陣は乗らない。現場も動かない。なぜ、人事の打ち手は、これほど高い確率で“スベる”のか――? その背景にあるのが、「理論」と「実践」のあいだに横たわる深い断絶だ。その溝をどう埋めるかをテーマにしたのが、新刊書籍『圧倒的成果を生む 人事施策の考え方』(テオリア)である。著者は、リクルートや面白法人カヤックなどで人事・事業の両面を経験してきた浜岡範光さん。浜岡さんと同じく組織人事コンサルタント、エグゼクティブ・コーチとして活動し、『チームが自然に生まれ変わる』(ダイヤモンド社)などの著書でも知られる李英俊さんとの対談を通じて、人事施策が失敗する「4つの典型パターン」と、その乗り越え方を紐解いていく。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、構成/藤田 悠)

とりあえず「体系的知識」を求めがちな人事担当者たち

李英俊(以下、李) 今回、ハマノリ(浜岡範光さん)は初めて本を出すんだよね。まずは、その経緯を聞いていきましょうか?

浜岡範光(以下、浜岡) というか、直接のきっかけは李さんですよね。あるとき、いきなり、「ハマノリは、そろそろ、本を書いたほうがいいんじゃない?」って言われたのを覚えています。

 そのあと、李さんの著書『チームが自然に生まれ変わる』(ダイヤモンド社刊)を手がけた編集者さんを紹介いただき、おかげさまで、『圧倒的成果を生む 人事施策の考え方』(テオリア刊)という初の著書が生まれることになりました。

 ハマノリは人事や組織に関するノウハウをめちゃくちゃ貯め込んでいたから、それを世の中に発信していくべきステージにきていると思ったんだよね。ぶっちゃけ、最初はあんまり乗り気じゃなさそうだったけど……それでも、本を出すことにしたのはどうしてなんだろう?

浜岡 ぼくは、普段、「人事向けの塾」で講師をしているんですが、そこにやってきた方たちに、「なぜ、人事塾に通おうと思ったんですか?」と尋ねると、みなさん、決まって「人事に関する体系的な知識を身につけたいから」って答えるんです。昔からずっと「人事が抱えるニーズ」の圧倒的第1位は「体系的知識」なんですよ。

 採用・教育・配置・報酬・労務・組織開発など、人事が扱う領域は広いですからね。「ちゃんと、知識の幅を広げなければ!」という感じなのかな。

浜岡 そうなんです。ぼくも新卒1年目から、いきなり、人事に配属されたので、みなさんの気持ちはすごくよくわかるんですが……。

PROFILE

浜岡範光 (はまおか・のりあき)

組織人事コンサルタント/エグゼクティブ・コーチ

1983年、静岡県生まれ。青山学院大学卒業後、リクルートに入社。人事、営業、経営企画など、多様な職種・部門を経験。人事としては、年間1000名規模の採用業務を担当。のちに結婚情報誌『ゼクシィ』の営業担当として、個人・チームの双方でMVPを獲得。経営企画では、人材領域の事業における中長期経営計画の策定支援や、経営会議の事務局として約1000件の起案・議論設計に携わった。

その後、面白法人カヤックにて新規事業の営業責任者となり、赤字事業の黒字転換を達成したほか、人事担当者としてもユニークな施策を通じて組織づくりに従事。

再びリクルートグループ(リクルートマネジメントソリューションズ)に戻ってからは、組織人事コンサルタントとして活動し、国内大手企業からスタートアップまで数十社の人事戦略策定・実行を支援。さらに、グループ内の新規事業提案制度「Ring」にて、約1000件の応募の中からグランプリを受賞。

ITベンチャー企業・Zealsの人事責任者を経て、2023年に独立。現在は組織人事コンサルタントとして、企業の人事施策の立案・実行を支援するかたわら、社外人事として実務も担う。また、経営層を対象としたエグゼクティブ・コーチとしても活動し、年間200本以上のセッションを提供している。人事担当者・人事コンサルタント向けの2つの実践塾で講師を務めるほか、プロコーチコミュニティの運営責任者も歴任。

大手とベンチャー、事業とコーポレートの両面に精通する強みを持ち、経営と現場をつなぐ専門家として活動を続けている。著書に『圧倒的成果を生む 人事施策の考え方』(テオリア)がある。

李英俊 (リ・ヨンジュン)

マインドセット株式会社 代表取締役/AIガバナンス・アーキテクト/LLMコーチ

2003年、新卒で外資コンサルティングファームに参画し、官公庁・民間企業向け事業再生・組織変革に従事。その後、インキュベーター企業で新規事業開発、戦略人事機能を担当する執行役として、同社IPOに貢献する。2008年より国内屈指の事業再生企業で取締役を務め、急成長企業である同社を「働きがいのある会社」ランキング(GPTW)に5年連続入賞させるなど、組織変革の実践知を積み上げる。

2016年、マインドセット株式会社を創業。現在は、Googleの次世代AI「Gemini」のアルファユーザーとして、最先端の演算リソースを組織統治に融合。国内超大手企業や、旧態依然としたJTC(伝統的日本企業)を対象に、AIと独自の「108のCODE」を用いた組織解体・再構築を主導している。

【現在の活動・領域】
人間のエグゼクティブへのコーチングに留まらず、「LLM(大規模言語モデル)そのものをコーチングする」という独自のメソッドを確立。AIの倫理観や思考プロセスを「108のCODE」によって最適化し、経営者の意志を1ビットの誤差もなく組織末端まで浸透させる「AIガバナンス」の第一人者。

トレーナーとして、過去20年以上にわたり、計2700回以上、4万5000時間以上の指導実績を誇る。身体開発から脳OSの書き換えまで、対象はプロアスリートからAIまで多岐にわたる。

YouTubeチャンネル「Mindset Coaching Academy」は登録者数17万人(2026年現在)を突破。

著書に『チームが自然に生まれ変わる――「らしさ」を極めるリーダーシップ』(ダイヤモンド社)がある。