「つくって終わり」ではない。人事施策は「伝えてなんぼ」

 その最後のポイントは、著者としても腕の見せどころだよね。「メッセージを伝えて行動を起こしてもらう」という意味では、「人事施策づくり」も「本を書く行為」も同じなわけだから。

浜岡 たしかに、そうですね。組織を動かしていくときには、「打ち手そのものを研ぎ澄ます」だけじゃなく、それを「相手の文脈に合わせる」ことにも同じくらい力を入れないといけない。

 それと同様に、本を書くときにも、「専門家としてこれを盛り込まなきゃ」みたいなことだけに囚われていてはダメで、「読者が本当に知りたがっているのは何か?」にきちんと寄り添う必要があります。

 ……でも、これって意外と難しいんですよね。思い入れのある施策、思い入れのある原稿であればあるほど、ぼくたちはそこから距離を取りづらくなりますから。

 うん、そうだね。でも、「当社には、いま、どうしてもこのマネジメント研修が必要なんです! みなさん、ご協力をお願いします!!」って人事が呼びかけるだけだと、ふつう、現場の人たちは「たしかにそのとおりだ。やりましょう!!」とはならない。人事がいくら熱くなっていても、それだけで火がつくことはなくて、現場は冷めている。

浜岡 だからこそ、本の中には「施策への熱量をメンバーに伝えるには?」という具体的なテクニックをきっちり盛り込むようにしました。それこそ、「メールの書き方」や「水面下でのやり取り」など、かなり泥臭い部分にも触れています。

 そういう意味でハマノリの著書は、いわゆる人事部門で働いている人だけじゃなく、経営者とかマネジャー、あるいは事業サイドの人なんかも含めて、「なんらかの打ち手を通じて、他者に動いてもらうこと」が必要な人全員に役立つ内容になっているよね。

浜岡 そう思いながら書きました。実際、発売前からテスト的に、本書の内容をベースにしたワークショップを何度か開催しているんですが、人事の方のみならず、経営者の方にも、結構、参加いただいているんですよ。

 それはすばらしい!

浜岡 人事や組織に関しては、それこそ、李さんの『チームが自然に生まれ変わる』も含めて、先人たちのすばらしい本がすでにたくさんあります。そういう本を右手に携えたみなさんが、拙著『圧倒的成果を生む 人事施策の考え方』を左手に持つことで、実際に組織を変えていけるようになる――そんな世界が実現できたら、めちゃくちゃうれしいなと思っています。