レコード人気の背景には
インバウンド需要も
アナログレコードの広がりは日本の若者だけでなく、インバウンドの需要も大きく関わっているそう。
「欧米の場合は、松原みきさんの『真夜中のドア』を始め、日本のシティポップが音楽ジャンルとして海外で確立したことがきっかけです。最初に火がついたのは配信でしたが、円安の影響もあり、状態の良い中古レコードを比較的安価に購入できることから、中古レコードを目的に来る海外の方もいらっしゃいます」
海外で出回っている中古レコードと違い、日本の中古レコードは保管状態が良い。また、日本のレコードには帯が付いていることから、海外のコレクターに注目されている。
「近年の生産数の増加や、いわゆるブームと称される現象は、20代から30代の日本の若者からの支持に加え、日本の音楽が海外で注目されていることによる海外ユーザーの増加など、ライトユーザーが大きく増えたことが要因だと考えられます」
『真夜中のドア』カバーが
レコード化で大きな反響
1979年にリリースされた松原みきの『真夜中のドア』。この楽曲が海外を中心に突如注目を集めた背景には、思いがけない要因があった。こうした動きに、村井氏も企画の一端を担っている。
「6年ほど前、Rainych(レイニッチ)というインドネシアの女性が、この曲のカバー動画をYouTubeに投稿しました。その動画が海外を中心に話題になったことを受けて、カバーバージョンで配信やアナログ盤を正式にリリースするという企画が持ち上がりました。マーケティング部門発の企画だったので、ディレクターである私自身は半信半疑でしたが、結果的に大きな反響を呼びましたね」
Rainychはその後、山下達郎の『RIDE ON TIME』をカバー。こちらもアナログ盤をリリースしており、再び大きな反響を呼んだという。村井氏が手がけたアナログレコードには、他にも魅力的な作品がある。
「偶然立ち寄った店でシャ乱Qの『ズルい女』が流れていたとき、発売当時CDで発売されたこの楽曲をアナログ盤にしたらどんな音になるだろうと、純粋なファン心から企画を立ち上げたことがあります。ちょうどリリース25周年のタイミングでもあり、事務所への許可なども含めて企画は順調に進みました。テスト盤を初めて聴いたときから本当に良い出来栄えで、胸が躍ったのを覚えています」
発売後には大きな話題を呼び、往年のファンにとっては嬉しい一枚となったようだ。
シャ乱Q『ズルい女』のアナログ版のジャケット写真
こうした過去作品のレコード化が支持を集める背景には、当時とは異なる制作環境の進化もある。
「アナログレコードしかなかった時代に比べて、盤の原材料だけでなくオーディオ技術も全体的に向上しています。弊社では、当時のデータを最新データに変換してアーカイブし、当時では再現できなかった音像を再現しつつ、良い音質と品質の向上を目指しています」







