コンサルにとって「デジタル化」が
おいしい案件である理由

 ITコンサルがしきりに「デジタル化」を勧める背景には、コンサル業界に特有のビジネスモデルがある。

 言わずもがなだが、コンサル会社は顧客企業に助言やコンサルティングサービスを提供することで売り上げを得ている。その構造は極めてシンプルであり、次の簡単な数式によって説明できる。

・売り上げ=単価×人数×回転率

 以上である。本題から外れるためコスト構造についての細かな解説は割愛するが、人件費・固定費以外のコストはあまりかからない。非常に利益率の高いビジネスモデルなのだ。

 この式を見るだけで、勘の良い読者はお気づきだろう。コンサル会社にとって収益性が高い案件は、複雑で案件単価が高く、多くの人員が必要になり、なおかつ長期にわたって続くプロジェクトである。

 その全ての条件を満たす案件が「デジタル化」なのだ。

 詳しくは後述するが、デジタル化のプロジェクトでは、単にシステムを導入・置換するだけでなく、その後の「保守・運用」までを継続的に提供することがトレンドになっている。

 そうしたサービスの提供に当たっては、プロジェクトマネージャーやコンサルタントに加え、システム設計の担当者、業務フロー設計の担当者、実装を担うITエンジニア、保守・運用を担う部隊など、多岐にわたる人員が参加し、チーム構成が数十人~百人を超えることもある。

 これに対し、新規事業開発・M&A支援・組織変革といったプロジェクトは、基本的には少数精鋭のコンサルタントが担当する。期間も3~6カ月程度で終了するため、単価こそITコンサルティングの案件を大きく上回るものの、人数・回転率は見劣りする。

 したがって、ITコンサル会社の営業担当者や経営層が、デジタル化という大型案件を顧客に対して積極的に提案することは、ビジネス的にも合理的な選択なのである。