実際、保険外併用療養費の一つである「選定療養」は、当初は差額ベッド料や予約診療など、患者の希望に沿った療養環境を可能にするものとして導入されたものだった。だが、その後、選定療養の枠組みの中に「大病院受診時の定額負担」「後発医薬品のある先発医薬品の利用に関する追加負担」などが組み込まれ、医療費の負担を患者に転嫁する手段として使われるようになっている。

 選定療養はあくまでも患者の希望によって利用するという前提があり、利用しなくても命を守るために必要な医療は受けられる。対して一部保険外療養は、必要な医療でさえも厚労相の定めで保険はずしができてしまう制度で、次のようなものが考えられる。

・5000円以下の医療費は一部保険外療養にして全額自己負担にする
・治療に使うガーゼや包帯などは一部保険外療養の対象にする
・深夜や休日などに診療を受けた際の時間外加算を一部保険外療養にする
・規定回数以上の訪問診療は一部保険外療養にする
・コルセットなどの治療用装具は一部保険外療養に移行する

 このように、現在、国会で審議されている改正健康保険法案は、将来の医療費の負担をガラリと変える危険を秘めたものが含まれているのだ。成立すると、単にOTC類似薬の負担増とどまらず、病気やケガの治療に必要な医療でさえも保険適用の範囲を狭めることが可能になる。その範囲はジワジワと拡大し、気づいた時は保険診療だけでは必要な医療が受けられない国になっていたということにもなりかねない。

 増え続ける国の医療費の適正化は重要なことだが、命を守るために必要な医療を保険適用外にできる法律を簡単に成立させてはならない。少なくとも、新設された第63条第2項6から「その他の適正な医療」を削除し、OTC類似薬に限定した内容に修正する必要があるのではないだろうか。

国民皆保険が崩壊する…「保険はずし」が薬代から医療全体に広がる《危険な法改正案の中身》