2021年度から始まった「長期経営ビジョン2030」は、鉄道事業においては安定的に事業運営できる体質の構築、非鉄道事業においては収益性の向上と事業領域の拡大を目標に設定。「中期経営計画2025」は、2025年度の数値目標を単体では売上高経常利益率1%(経常利益3億円)、連結では経常利益における連結貢献額10億円を掲げた。

 そして迎えた2025年度、数値目標が達成できる見込みとなり、長期経営計画実現に向けた構造改革第一段階はとりあえずクリアした。グループ経営の観点では順調といえるが、JR四国が危機を脱したとは言えない。

経営安定基金による
民営化スキームの破綻

 国鉄分割民営化において、同社の経営モデルは、鉄道事業で生じる巨額の営業損失を経営安定基金の運用益で穴埋めする前提で構築された。基金で下支えしながら鉄道事業の再構築、関連事業の育成を進め、経営自立する想定であった。

 しかし、バブル崩壊後の経済低迷で運用益が急激に減少。さらに人口減少、モータリゼーションの進展で、鉄道運輸収入は1999年から2009年までの10年間で約100億円も縮小した。国鉄から引き継いだ設備の更新費用がかさみ、減価償却費を中心に営業費が増大したことで営業赤字が拡大し、民営化スキームは破綻した。

 2026年度収支予算書を見ると、単体鉄道事業営業損失は167億円で、営業外利益として経営安定基金運用益が104億円、経営安定化特別債券利息が7億円だ。つまり、民営化スキームの収支は56億円の赤字、しかもこの運用益と利息は国の支援でかさ上げされた数字である。

 非鉄道事業の拡大を急いでいるものの、これだけの赤字を埋めるのは容易ではない。つまり、鉄道事業を抜本的に見直さない限り、JR四国の自立は不可能というわけだ。しかしながら、中期経営計画が順調に進む一方で、鉄道分野における「5カ年推進計画2021~2025」は目標未達となった。

 この計画は2020年3月に国交省が発出した行政指導文書を受け、2021年3月に策定された。「四国の活力の維持・向上を支える持続的な鉄道網の確立」に向け、利便性向上や利用促進などを「地域の関係者と一体となって徹底的に検討」することを目的としている。