JR北海道との違いは「核」の有無だ。北海道は札幌周辺に輸送密度4万人クラスの線区が複数存在するが、四国は瀬戸大橋を渡る本四備讃線と予讃線高松~多度津間が2万人を超えるだけ。札幌が200万都市なのに対して、四国は最多の松山が約50万人、高松でも約40万人である。

 極端な思考実験だが、JR北海道は北海道新幹線の札幌延伸で収支が好転し、札幌周辺以外の路線を全て切り捨てれば、鉄道事業の営業損失は500億円から150億円程度まで圧縮できる。経営安定基金運用益は約300億円なので、万事解決だ。しかし、JR四国はどこを切り出しても黒字にならない。これは同社にはどうにもならない構造的な問題なのである。

 また、是非は別として、四国のみ新幹線は整備されなかった。にもかかわらず、高速道路総延長は1987年の11キロから2025年は610キロまで増加。1998年に2本目の本四連絡橋「大鳴門橋」、1999年に3本目の「しまなみ海道」が開通した。

 もうひとつの特徴は、30~50万人都市でありながら、松山には伊予鉄道、高松には高松琴平電気鉄道、高知にはとさでん交通という存在感のある私鉄があることだ。都市部・郊外の輸送に注力しようにも強力なライバルがいる。JR四国にどのような役割を求めるのか、国鉄改革時も民営化後も国に明確なビジョンがあったとは思えない。

 前回、自治体が覚悟を決めなければローカル鉄道の維持は難しいと書いた。高松市の2026年度一般会計予算は約1900億円で、この中から、地域公共交通再編事業に2.6億円、にぎわいと活力のある歩きたくなるまちづくりを進めるウォーカブルシティ推進事業に1.6億円、複合サービス提供に係る調査・実証を行う地域公共交通改革事業に4200万円、予讃線瑞岡駅周辺整備事業に3300万円を投じるなど積極的に関与している。

 ここまでしても事業が成立しないのであれば、それは努力が足りないのではなく、仕組みそのものがおかしいのだ。JR四国と4県はそれだけの覚悟をもって取り組んでいる。もしユニバーサルサービス料金が実現するなら、こうした路線の維持にこそ投じられるべきだろう。JR四国の鉄道事業を救えないのであれば、全国のローカル鉄道は同様の運命をたどるということだ。

 そうした中、JR四国は「中期経営計画2030」で何を目指すのか、次回は具体的な取り組みを紹介したい。