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地盤調査大手のSAAFホールディングスが5月、臨時株主総会を開く。現経営陣の解任を求めて招集請求を行ったのは、同社創業者で元社長の前俊守氏。その前氏がダイヤモンド編集部の取材に応じ、異例の株主提案に踏み切った狙いを明かした。泥沼の経営権争奪戦は「経営陣vs前経営者」という単純な図式ではなく、過去の経営統合を巡る権力構造のゆがみが原因とみられる。連載『株主総会2026』の本稿で、上場企業の知られざる暗部を浮き彫りにする。(フリーライター 村上 力)
「オオカミの群れ」か、正当な権利か
創業者が全否定するウルフパック認定
「株主のウルフパック戦術を認定」――。今年3月、東京証券取引所グロース市場に上場するSAAFホールディングスの取締役会は、元社長の前俊守氏が複数の投資家とひそかに協調して株を買い占める「ウルフパック戦術」を行った疑いがあると公表した。
SAAFは18年、ITシステム開発を手掛けるITbook(当時東証マザーズ上場)と、地盤調査・改良事業のサムシング(当時東証ジャスダック上場)が経営統合して設立された。サムシング創業者の前氏はSAAFの社長に就任するも、25年4月に辞任。ところが今年1月、現経営陣の解任と自身を含む取締役の選任を求める臨時株主総会請求に踏み切った。
前氏が保有するSAAFの株式は5.8%で2位。一方、現経営陣側と思われるFP成長支援F号投資事業有限責任組合(以下、FP投資組合)は7.44%と、会社側の株主構成が盤石とは言い難い。そうした中、現経営陣は社外取締役で構成される独立委員会を設置し、前氏のウルフパックを認定した。
しかし今回、ダイヤモンド編集部のインタビュー取材に応じた前氏は、ウルフパックについて「全く身に覚えがなく、協調しているとされる株主とは会ったこともない」と全否定。会社側が主張する「私的流用疑惑」にも反論した。
沈黙を破った創業者が明かしたのは、信頼していたはずの協力者や社外取締役らによる、緻密に練られた「謀略」のシナリオだった。株主総会の裏に隠された権力抗争の実態を、次ページで明らかにする。







