スマホのチェックや引き出しの中身を勝手に見る等は、明確にプライバシーの侵害です。プライバシーは、子どもの権利条約で定められている、守られなければならない権利です。私たちは誰にでも秘密があり、その秘密は「私だけのもの」です。それを暴こうとするのは、プライバシーの侵害によって境界線を踏み越えてくる行為です。

親が子にやりがちな
心理的虐待の数々

 予定や進路、習い事を勝手に決めるのも、「子どもはどうしたいか」を無視した行為で、「子どもには子どもの考えや計画、好きなものやきらいなものがある」ことを軽んじています。子どもの意見を価値のないものとして、親が勝手に決めています。これも境界線を踏んでいるということです。

 SNS等への子どもの写真の無断アップロードも、子どもを自分の「モノ」のように扱う行為です。子どもの主体性を軽んじる、境界線の侵害だと言えます。

 子どもを自分の愚痴のきき役にしたり、子どもに他の家族のケアをさせるのも、同じく境界線を大切にしない行為です。これらは「大人が自分で引き受けるべき役割」を子どもに押し付けているからです。

 また、不機嫌や疲労を態度(大きな音をたてる、ため息をつくなど)で表すのは、子どもに「察しろ」「私の機嫌をとれ」と要求することです。子どもは息を潜めて、自分のしたいことや気持ちをぐっと押さえつけ、親の機嫌を察しようとします。親の機嫌や気持ちを察することが、子どもの心の中で最優先になってしまう、境界線の侵害です。

 親同士の喧嘩やいさかいが子どもの目の前で繰り広げられるのは、そこに暴力や暴言が含まれていれば「面前DV」という心理的虐待にあたります。面前DVは、子ども本人は直接的な被害を受けていなくても、それを見ているだけで心に大きなダメージを与えることが証明されています。

 面前DVは、子どもに恐怖を与えます。その恐怖によって、しばしば子どもは「自分のせいで喧嘩になったのではないか」「自分が良い子にしていなければいけない」と考えるようになったり、強い無力感を抱いたりするようになります。これも、親の行動によって子どもの心が支配される境界線の問題につながります。