そもそも私は理系・文系という枠組みが時代にあっていないと思っていますが、現実に文系の学生でもスマホやSNSは当たり前に使いこなしますし、知識としても高校時代から「情報」の授業を必須科目として受講して育っている世代です。大学の文系コースでも、情報やAI利活用はあたりまえのように大学のカリキュラムに入っています。しかもITとは全然違って、AIは文系が利活用しやすいツールです。
2040年の予測で唯一、AI活用の人材不足が起きないと予測されるのがIT企業を含む情報通信業です。ここは理系の専門知識を学んできた学生が優先して就職します。結局のところ人材が不足するのは、製造業でも小売業でもサービス業でも現場でAIを使う場面で起用される人材であって、AIを作る人材ではありません。若くて知識の吸収が早い学生には、文系理系の枠組みと関係なく2040年には活躍の場が広く生まれるのです。
少し古い話をします。1990年前後に社会人になった私の世代は、パソコンを自分で勉強した世代でした。当時からIT革命が起きていたのですが、残念ながら大学のカリキュラムは遅れていて、教室にパソコンなどおかれていなかった時代です。
社会人になってみると上の世代はパソコンを使えません。でも文書作成にしても数値の管理にしてもワードやエクセルを使ったほうが、電卓や便箋を使う上の世代よりも圧倒的に生産性が高い仕事ができます。
それで私を含めて同期はみな、ボーナスでパソコンを自腹で購入して、独学でパソコンスキルを磨きます。上司からは評価すらされないパソコンスキルが、職場での活躍には役立つ時代でした。
「歴史は繰り返す」といいますが、2030年代の職場はこれと同じ状況になります。
古い世代は「AIなんかわからない」と不満を漏らし、20~30代の社員は自腹でAIをサブスクしながら使い方を勉強します。
今の学生は、平成初期の学生よりも学習という観点では圧倒的に有利です。YouTubeやnoteなど使えるAIカリキュラムが身近なところに存在します。自分の大学の講義が遅れていたとしても、学生ならたとえば東大の松尾研が毎年開催しているAI経営のリモート講義を無料で受講できます。世界に教材はあふれているのです。
結局のところ、文系大学生は就活において「自分はAIの利活用については準備ができている」と強調するという点だけがこれまでと違う点です。そうして社会人として配属される職場には、AIを利活用して変えていかなければならない経営課題のフロンティアが無限に広がっています。
出世を目指すなら
理系より文系が圧倒的有利
「とはいえ、理系学生の方が有利な点は変わらないんじゃないか?」と思うかもしれません。40年以上にわたって企業経営を観察してきた私の見解は逆です。むしろ理系出身者は文系の勉強をしなければ、企業の中でのAIの利活用では早晩、壁にぶちあたります。







