齋藤:とかく現代人は何事をやるにしても不必要なところまで緊張している気がします。姿勢を保つのに、いらない筋肉まで緊張させているような気がします。

 例えれば、パズルのジェンガみたいに、ジェンガで築いた塔が崩れないように1個1個ジェンガを抜いていく。すると、どこまで抜けば崩れるのか。そのギリギリの限界までに調整するのが東洋思想における「脱力術」の真骨頂でしょう。

pha:すごくいいですね。

所ジョージは
東洋思想の体現者!?

齋藤:所ジョージさんって、何回か仕事でご一緒させてもらったことがありますが、二十数年前に仕事をした時と、今でもほとんど変わりません。飄々としていて偉そうにしないし、こだわりがない感じがあります。

 かつて、所さん独特の佇まいを黒澤明監督がすごく気に入って、『まあだだよ』という映画に出演依頼をしました。あの重厚な黒澤映画の映像世界に所ジョージが出演する。これこそ全力脱力の極みです。

 所さんは偉ぶるどころか、業界用語では「撮れ高がいい」と評判です。つまり収録時間と放送時間がほぼ一緒。スタッフからすれば実にありがたい存在なわけです。

 しかも勉強熱心で、物事を知っているのにもかかわらず、ワケ知り顔でしゃべることが絶対にありません。CMの間だけポツリとしゃべるだけ。本番ではほとんどゲストに話題を振ってご本人はあまり前に出てこない。珍しいモノを紹介するVTRを見て、私たちがコメントする。その後カメラが止まると「あれ、うちにあるわ~」と、私たちを驚かせる。

 そうした力の抜け加減がすごいだけでなく、もはや年齢すら不詳です。まだ還暦前に見えますけど、所さん自身は、若さ自体にこだわっていない感じがします。所さんは存在そのものが、東洋思想じゃないかなと思います(笑)。だから所さんが出演している番組をつい見てしまうという軽さがありますね。

pha:年を取るとつい重厚さが出がちですけど、所さんは軽やかで飄々とした雰囲気をずっと保ってますね。漫画『ドラゴンボール』に出てくる亀仙人みたいですよね(笑)。