しかし、諸外国と比べて国民皆保険で充実した日本の医療や介護保険にフリーライドするため、中高年時から日本で就労し、一定期間後に永住許可を得ることを目標としたケースが増えれば、医療財政への負荷が大きな問題となります。
日本の年金制度は、長期的に保険料の拠出額に応じた給付額となっていますが、医療保険は単年度の保険料でその給付を賄う仕組みです。外国人も含めて、誰でも加入すると同時に病気になれば医療給付を受けられ、過去の保険料拠出期間の長短は問われません。このため、外国人が取得の容易な学生ビザなどを用いて短期間の滞在中に健康保険料を支払い、高額の医療費の治療を受けて帰国するようなケースも一部にはみられます。
移住してくる年齢によって
社会保険料の損得は大きく変わる
ここでより大きな問題は、外国人の生涯医療費です。日本の医療費は患者の年齢に大きく依存し、平均して60歳以上で生涯医療費の約3分の2を受給しています。このように給付が高年齢期に集中していることは、実質的には積立金のない年金保険財政に近い仕組みです。
また、介護保険も主たる受給者は65歳以上となっており、それに近い年齢から加入しても、すぐに特別養護老人ホームに1割の自己負担で入居することも可能です。他方で、医療や介護の保険料は、勤労時には給与の一定比率で定められていますが、給与所得のなくなる高齢者の保険料は低く、世代間での給付と負担のアンバランスが大きいといえます。
このため、若年期に日本で働き、数年後に帰国する技能実習生等の場合には、日本の社会保険制度は不利となる場合が多く、年金保険では、一部の国との間で、国際間の相互協定が設けられています。
逆に50歳代かそれ以降に日本に移住してくれば、個人として大幅な利益が発生することになります。このように、現行の医療や介護保険は、暗黙のうちに、勤労時に医療や介護保険料を長期間負担し、高齢期に給付を受ける場合を想定しています。中高年齢時から日本に定住する外国人への考慮はほとんどなされていません。







