移民を恒常的に受け入れている他の先進国では、こうした負担と給付とのアンバランスを抑制するために、外国人に対しては、入国後も、一定期間は公的な健康保険への加入を制限している場合が多いです。
特に英国の国民保健サービス(NHS)は、社会保険料ではなく税金で運営されていることから、外国人は滞在6カ月以内には加入できません。その間の医療費は、自らの海外旅行保険か自費で払うかの選択を求められる仕組みになっています。他方で、原則として長期滞在者には、ビザ取得時にNHSへの加入が求められ、その際に「移民健康付加金(Immigration Health Surcharge)」の支払いが求められます。この額は英国政府の最近のHPによれば、学生等を除き、年間1035ポンド(約20.7万円)となっています。
社会保険のフリーライドを
防ぐ対応策とは
これに対して日本では、外国人は在留期間が3カ月以内は国民健康保険には加入できませんが、それを超える場合には、逆に加入義務が生じます。これは2012年の改正前までは、外国人が国民健康保険や介護保険の被保険者の対象になるには「入国後1年以上」の要件が必要でした。これが住民基本台帳法の改正が行われた現在では、「住民基本台帳に登録される外国人の在留期間が3カ月以上」になり、その最低加入可能期間が大幅に短縮されました。
なお、この改正は厚生労働省の省令改正によるもので、国会での議論はほとんど行われませんでした。
『「政府の失敗」の克服―規制改革をどう進めるか』(八代尚宏、日本法令)
前記のような高齢外国人による国民健康保険や介護保険へのフリーライドを防ぐためには、以下のような対応策が必要とされます。
第1に、母国で重大な病気などを抱え、日本の高額療養費制度などを含む国民健康保険の利用を目的に、短期的に在留するケースが指摘されています。これに対しては、国民健康保険に加入できる3カ月以上の在留許可を得る段階で、日本での健康診断書のチェックを義務付けることで、短期滞在での濫用防止を徹底する必要があります。もっとも、外国人が短期滞在中に重病にかかった場合には、医療費の支払い能力がなくても治療は受けられるため、旅行者保険のチェックも必要です。
第2に、永住許可の際には、入国時の年齢に応じて、「それ以降の医療財政への負荷」と、「それ以前の医療財政へ保険料支払い」を考慮して、不足保険料の一括負担を求めることも考慮する必要があります。また、扶養家族がいる場合には、その分も加算することが必要です。







