イスラエル当局のやや甘い読み...
米国もイランも引くに引けない状況に
2月末のイラン攻撃直後、トランプ氏は4~5週間で戦闘は終結すると主張した。その背景には、イスラエル当局のやや甘い読みがあったとみられている。米国とイスラエルの攻撃でイランの指導者を排除すれば、民衆は蜂起し体制転換が早期に実現すると思っていたのかもしれない。
ところが、イランの粘り腰もあり、そうした読みは外れた。次第に政府関係者らの一部も、「トランプ氏の言うことはあまり当てにはできない」といったスタンスに変わったとみられている。その後、市場関係者の大半が、「トランプ氏の発言はほとんど真実味を持たない」との見方になってしまった。
ホルムズ海峡封鎖で原油価格は上昇し、米国のガソリン価格は、目安となる1ガロン=4ドルを大きく超える水準まで跳ね上がった。中低所得層の生活負担は増え、トランプ氏の支持率も低下傾向が明らかだ。この点、秋の中間選挙を控えたトランプ氏と共和党にとって深刻な問題であることは間違いない。
米国とイランの交渉は膠着(こうちゃく)し、今のところ、イランは核放棄の条件を飲みそうもない。核放棄で政権が崩壊したリビアの教訓もある。海峡封鎖でガソリンや食料などの価格が上がる結果として、トランプ氏に痛手を負わせることはイランにとって重要なカードだ。
一方、トランプ氏にしても、イランの海上封鎖を解くことは難しいだろう。イランの条件をのむことは、トランプ氏のメンツにも関わる。また、米国の戦争権限法に決められている、議会への60日以内の承認要求も制約要件になるかもしれない。トランプ氏は厳しい状況に追い込まれているとみえる。
戦争リスク保険料は、イラン攻撃前の8倍程度に高止まりしているようだ。恐らく、高い保険料を支払ってまで、周辺海域の航行を増やす海運企業は出てこないだろう。これも、ホルムズ海峡再開を難しくさせる。
4月後半以降、原油先物市場のトレーダーら関係者間では、ホルムズ海峡再開の見込みはなさそうだとの見方が増えた。T主要投資家の関心は変化し、原油や天然ガスの価格は再び上昇傾向となっている。
米国とイスラエルは、イランが中国、ロシア、北朝鮮などの関係を活かして軍事物資などの備蓄を積み増したことを適切に鑑みていなかったようだ。それも、戦争が長引く要因になっているだろう。ホルムズ海峡を巡り、米国もイランも引くに引けない状況になっている。







