イラン側は、米国のインフレと
トランプの窮状を見透かしている
「トランプ氏はイラン攻撃で、致命的なミスを犯した」とみる専門家もいる。世界のエネルギー輸送の大動脈であるホルムズ海峡の確保は、戦略上、最重要ポイントだったはずだ。しかし、トランプ氏は海峡を確保することなくイラン攻撃を開始した。
それに対して、イランは安価なドローンや機雷敷設で海峡を掌握した。米国のパトリオット迎撃ミサイルなど、高額兵器の攻撃にも耐えるだけの物資を蓄えた。海峡封鎖により原油価格が上昇し、各国でガソリン価格の上昇が鮮明になった。
5月15日、全米のガソリン小売価格は平均で4.528ドル/ガロンだ。個人消費にブレーキがかかる分水嶺といわれる4ドルを大きく上回った。ある世論調査によると、「トランプ政策で生活コストが増えた」との回答が77%に上昇した。
ガソリン価格上昇で、トランプ氏の頼みの綱である低所得層の離反も見え始めている。4月、米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.8%アップと加速した。エネルギー、食品などの価格上昇が鮮明だ。物流や農畜をはじめとした産業活動に必要なディーゼル燃料価格も上昇している。
インフレへの懸念から5月中旬、米国の長期金利(10年国債の流通利回り)は4.5%台に上昇した。モノやサービスそして金利上昇で、トランプ氏に対する世論の離反がますます増えることも想定される。
ただ、トランプ氏がイランへ安易に譲歩することは難しいだろう。中国を訪問する前にトランプ氏は、戦闘の終結に「助けは必要ない」「イランを掌握し、(テヘランサイド)が合意するか、崩壊するかだ」と発言。いずれも、窮状を見せまいとする強弁と解釈できる。
トランプ氏の強がりをよそに、イラン革命防衛隊は海峡の作戦範囲を10倍に拡大したと主張した。トランプ氏の交渉のカードは限られている。イラン側は、米国のインフレ高進によるトランプの窮状を見透かし、海峡の封鎖を続けるだろう。







