台湾問題で中国側が大きな成果

 経済面での成果を上げようと気持ちがはやれば、台湾など安全保障面では中国側に譲歩するのではないか? そうした懸念がトランプ第2次政権にはついてまわる。

 実際に首脳会談で台湾について何が話し合われたのかについては、依然として断片的な話しか伝わってきていない。会談終了後、まもなくしてその内容を報じた新華社電によれば、習氏はトランプ氏に対し、台湾問題は中米関係において最も重要な問題であり、もしうまく処理できれば両国関係を総じて安定させることができるし、うまく処理できなければ両国はぶつかり衝突して、中米関係全体を大変危険な状態に押しやることになる、と語ったという。

 だが、実際にそう述べたのかどうかはわからない。中国側は、自分たちにとって望ましい会談内容だったといち早く印象付けるために予定稿を準備していただろう。会談後の速報記事は、それがベースになった可能性が高い。

 いずれにせよ、習氏にとって台湾が一大事であることは間違いない。トランプ氏が帰国途中、専用機上で記者たちに語ったところによれば、習氏に台湾を守るのかと聞かれたが、自分はそういう話はしないと答えたという。トランプ氏は、台湾には独立を望む者がいるが、自分は台湾まで9500マイルも移動して戦争することは望んでいない、台湾の独立を望んでいないとも述べた。習氏にすれば、このような発言を引き出せたことは大きな成果だったろう。

 また、台湾への武器売却についてトランプ氏は、近いうちに判断を下すが、台湾を率いている人物と話さなければならないと述べた。さらに、どうするかは中国次第で、率直に言ってこれは中国に対するとてもよい交渉カードだとも語った。

 台湾関係法は、米国が台湾の自衛のための手段を提供することを定めている。そして、台湾への武器売却については中国側と協議しないというのが、1982年以来の米台関係の現状維持に関する「六つの保証」の一つだった。だがトランプ氏は、それは昔の話だと一蹴して「六つの保証」を問題にしない姿勢を示した。

 露わになったトランプ氏の本音に対し、当然ながら台湾側は警戒を高めている。頼清徳総統は、台湾は実質的に独立国であり、我々は一貫して台湾海峡の現状維持を唱えてきたと発信した。台湾の現状維持に資する「六つの保証」の一つが崩れれば他の保証も失われていくのではないかと、台北の関係者は懸念を募らせている。

 台湾をめぐって、中国との関係をこじらせている国は日本だ。高市早苗首相は、中国から帰国途上のトランプ氏と電話で会談し、米中首脳会談の説明を受けた。その後の記者会見で、日本についても米中間で話し合われたのかと聞かれ、「日本につきましては、大変なお力添えをいただいたということで、深く感謝を申し上げる内容でございました」と答えた。詳細は不明だが、習氏がトランプ氏に日本批判を言い立てた可能性が高い。