19歳になったロビンソンは、法律家になってほしいという両親の反対を押し切り、ロンドン行きの船に乗りこみます。ところが生まれて初めて海の高波を目にした彼は恐ろしさのあまり、さっそく自分の行いを反省し始めます。

 再び陸に上がることができたら、まっすぐ父のいる家に帰り、絶対に船に乗ることなど考えませんと殊勝に誓うロビンソン。もっとも雨がやんで酒を飲んだら、この誓いもすっかり忘れてしまいました。

 まもなく船は嵐にあって沈没し、ボートで命からがら脱出するはめになります。心配した船長は実家に帰れと説得しますが、親の忠告を振り切って旅に出た手前、すぐには帰れません。

 ロビンソンはアフリカ行きの奴隷貿易船に乗るという大胆な選択をしました。幸い、船長に気に入られたロビンソンは商売と航海の技術を教えてもらい、大金を稼ぐことができました。気をよくしたロビンソンは、再度船に乗り込みます。

 ところが幸運は続きませんでした。海賊に襲われたロビンソンは、奴隷としてモロッコに拘禁されてしまったのです。

 どうにか脱出してブラジルにたどりつき、農園の経営で成功をおさめるも、もとより安泰な暮らしにはなじめないのがロビンソンです。

 奴隷貿易の航海に出て、難破の果てに絶海の無人島に1人ぼっちでたどりつくのでした。

 28年間続くサバイバル生活の始まりです。ロビンソン、27歳のときでした。

幸せと不幸の貸借対照表を
作って絶望を抑え込む

 当初はこの島で孤独に朽ち果てるしかないと絶望し、我が身の不幸を呪いまくるロビンソンですが、絶望を理性で抑え込むため、幸せと不幸を簿記の貸借対照表のように紙に書き出すことにしました。表の中からいくつか抜き出してみましょう。

悪い点 私は無人島に流され、救出されるいかなる希望もない。
良い点 しかし、私は生きている。仲間たちのように海で溺れ死ぬことはなかった。
(…)

悪い点 私は他の人間たちから切り離され、社会から追放された隠者同様である。
良い点 しかし、食べるもののない不毛の土地にもかかわらず、私は餓死していない。

悪い点 私には身につける衣服もない。
良い点 しかし、ここは熱帯なので衣服はさして必要ではない。