表をながめて「完全に惨めな境遇というものはこの世にない」と希望を見出したロビンソンは、今の状況を楽しもうという気持ちになれたのでした。
ロビンソンはさっそく住居と家具を作る仕事にとりかかります。といっても、無人島に木材を売っているホームセンターなどあるはずもなく、木を切り倒して板を斧で削りだすところから始めなくてはいけません。お坊ちゃん育ちのロビンソンには、あまりにもハードルの高い作業でした。
それでもロビンソンはめげません。「理性こそが数学の本質であり根底であるので、理性の導くままに測り計算し、合理的な判断を積み重ねていくことで、もの作りに熟練することは誰にでも可能」と考え、果敢にもDIYにチャレンジしていきます。
前向きになれるのも健康あってのこと。しばらくしてマラリアに罹患したロビンソンは、「これほどまでしてもお前は悔い改めない。もうお前は死ぬ以外にない」と宣告される悪夢にうなされます。
何日も続く苦しみと高熱から、父の助言に従わなかったこと、神が用意した人生を歩まなかったことを後悔せずにはいられませんでした。
《その通りに歩んでいれば、何不自由ない幸福な人生が送れたのだ。しかし私は神の声に耳を貸さなかった。そうした生き方を試してもみず、その有難みを両親から学ぼうともしなかった。私は愚かなことをして父と母を悲しませただけだ。》
安住の地を得た途端
また冒険したくなる
自分の愚かさを思い知った彼の目に映ったのは、神が創り出した大地の偉大さでした。
自然に対して謙虚になったロビンソンは、畑仕事と酪農に精を出します。
大麦を栽培し、大麦を製粉するための道具を作り、粉からパンを焼く。ヤギを繁殖させて家畜化し、肉や乳を調理する。ヤギの毛皮から防寒着を仕立てる。粘土を探して食器を作る。別荘を建築する。
すべてを一からDIYするのは大変そうですが、田舎の別荘で手打ち蕎麦や陶芸にいそしむ悠々自適のシニアのような生活と言えなくもありません。







