仲良しのねずみさんと象さんがいた。しかし喧嘩をしてしまった。ねずみさんは、象さんが寝ているあいだに相手を傷つけようと、足をかじりに行った。ところが、大きな象さんは気づきもしない。

 一方、象さんは寝返りをうったとき、意図せずに誤って小さなねずみさんの上に乗っかって死なせてしまった。いったい、どちらが悪いでしょう?

 子どもたち同士で話し合って、納得する答えを導き出すものです。先に正解は言いません。子どもたちで話し合うようにし、子どもたちなりの答えを導き出してもらいます。

 私は授業の内容で、深く考えるべき点に関しては、できる限り子どもたちにこう呼びかけます。

「隣の席の友達と話し合ってみて」

 しかし、その教室のグレーのシャツの子は、そうはしません。

 隣の席の女の子とは話さず、後ろや遠くにいる自分の子分のように従わせている子たちとだけ話そうとします。

面倒な気持ちや親切心が
学級崩壊を招いてしまう

 私は彼がその子たちとだけ群れるのではなく、多くのクラスメイトと話す経験をしてほしいので、隣の席を指しつつ「こっちでしょう?」と彼に促します。

 そして再度、教室全体に向けて「ではもう1回、隣の席の友達と話し合ってみて」と仕切り直しました。個人をくり返し注意はしません。ただし、全体に向けて「彼のためにもう一度やり直すんだ」としっかりと伝えたのです。彼ひとりのためです。

 なぜなら学級崩壊の原因のひとつに、教師が教室のルールを守れない子どもに対して「面倒だから見逃す」ということが多々あるのです。するとその光景を見た他の子どもたちにも悪影響が及びます。「あいつには何も言えないんだ」と。

 現にこの授業中、「ふだんは先生のコントロールが利いていない教室なのだろうな」と感じさせる場面がありました。参観する他クラスの担任の若い男性の先生が見せた、ほんの一瞬の行動からです。

 授業で使用するプリントを配っていたときのことです。前の席から後ろの席へと手渡ししていきます。

 教室の入り口側のいちばん前の男の子は車椅子に座っていました。彼のすぐ後ろの席は欠席だったのか、空席でした。