そして「この後ろめたさ+正義感」は、時にものすごいエネルギーを発します。

 結果、親や近くに住む家族、それまで支援してきた介護や医療スタッフにとって「遠方から来た困った子ども」になるわけです。

死にゆく親を愛せなくても
罪悪感を感じることはない

 これは数多くの看取りの場面を見てきた経験上、よくあることかなと思います。

 遠方からの「精神的な動揺をきたした」子どもさんは、今の医療現場では、あまりお話を聞いてもらえず、悪者扱いされてしまうこともあるようです。

 すると、子どもさんの側はさらに思いをこじらせてしまって、結果として穏やかな気持ちで見送れなくなります。誰しも「悪者」扱いされて穏やかでいられる人はいませんものね。

 私の看取り医としての経験からいうと、「遠方から来た困った子どもさん」への対処法としては、まずお話を聞くことから始めることが多いです。

 そして、私から子どもさんに対しては、このようにアドバイスをしています。

 自分が危篤の親の姿を見たときに「もっと、医療行為をして、なんとか回復できないんですか!!」みたいな気持ちになったときは、まず「ああ、自分は動揺しているのだな」と思うこと、と。

 最期に近づいたときに、無理に点滴をしたり、血圧を上げようとするのは患者さんにとっても苦しみを生むことになりえます。

 呼び出されて親のところへ行き、自分が思っていたよりも親の弱る姿を見て気持ちが動揺したときには、こうした医療的な知識を思い出してほしいのです。

 これもまずは「知ること」が大切かなと思う面です。

 多くの看取りの現場を見てきた経験からすると、時に子どもさん側が、亡くなりゆく親御さんを愛することが難しい場合もあります。

 けれども、そんなときでも「イッツオーライ。そんなこともあるよね」と私は思っています。

 家族だけが亡くなりゆく人を愛する存在ではありません。

 もし家族だけですべてを対応しないといけない状態であれば、肉体的にも精神的にもとても大変です。