競合比較出典:各社決算データを基に作成
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「問題児」を「花形」に育てた三つの軸
アシックスは何をやったのか

 ここで注目したいのは、”問題児”を”花形”に育てたプロセスです。同社の取り組みを分解すると、大きく三つの軸が見えてきます。

 一つ目は、競技領域での信頼の再構築です。

 2021年の箱根駅伝で「着用率ゼロ」という屈辱を経験したアシックスは、社長直轄の「Cプロジェクト」を発足。競技現場に向き合い直す中で生まれた「メタスピード」シリーズは、トップランナーの支持を獲得しました。

 2024年の箱根駅伝では、ナイキに次ぐ2位へ浮上。途中、首位入れ替わりはあったものの、2026年大会までアシックスは3年連続で2位をキープ。トップアスリート市場での競争力を取り戻す転機となりました。

 二つ目は、日本のクラフトマンシップをブランド価値の源泉に据えた「オニツカタイガー(OT)」の躍進です。

 スポーツ用途にとどまらず、ミラノでのコレクション発表など感性に訴える世界観を構築し、高価格帯でも支持される基盤を築きました。インバウンド需要の追い風も受けて、利益率37%超という驚異的な数字を生み出しています。

 三つ目が、D2Cを契機とするデータ駆動型ビジネスへの転換です。

 卸売から自社ECや直営店へのシフトは、単なる中間マージン削減だけが目的ではありません。それぞれのタッチポイントを通じて直接得た顧客データを商品開発やマーケティングへと還元する仕組みが整ったのです。

 需要予測の精度が高まり、在庫が適正化されることは、安易な値引きによるブランド価値の毀損を防ぐことにつながります。

 ただし、これらの軸は「何をやったか」の話です。なぜアシックスの手にかかると、これらが持続的成長へと転化されるのでしょうか。