「やったこと」が、なぜ「効く」のか
持続的成長につながる「エコシステム」とは?
ここに、アシックスの戦略の本質が見えてきます。
一見すると、ターゲット顧客も世界観も異なる競技用とファッションですが、実は、競技での実績がブランドの信頼を高め、その技術に裏打ちされたクラフトマンシップに世界が熱狂し、さらにはブランドがライフスタイル消費への橋渡しとなる――。
そして、水面下では、共通の会員基盤である「OneASICS」を中心に、データ基盤と顧客接点が機能しており、カテゴリーを横断する「認知→体験→購買→再購買」のサイクルが設計されています。
2026年現在、同社は「ランニングエコシステム」を標榜し、買収した世界各地のレース登録サービスと連携して、インフルエンサーが大会への参加を呼びかけたり、一般のランナーがトレーニング過程をランニングアプリ「RunKeeper」で共有したり、大会当日までのストーリーを発信しやすくしたことで、マラソン領域での売り上げ向上に直結させています。
この構造は、単なるマルチ・ブランド展開とは異なり、「エコシステムがけん引する成長(Ecosystem-Led Growth)」を引き出しているのです。
出典:Bob Moore著『Ecosystem-Led Growth: A Blueprint for Sales and Marketing Success Using the Power of Partnerships』を参考に作成拡大画像表示
次なる競争はさらに外へ
健康×ラグジュアリーが巨大化
そして、アシックスが今後向き合う市場は、スポーツ×ファッションの外側へも広がる可能性を秘めています。それを象徴するのが、健康×ラグジュアリーを統合したグローバル・ウェルネス市場です。
いま世界では、長寿化(Longevity)時代をよりよく生き抜くための市場が拡大傾向にあります。注目すべきは、投資の中心が「病気の治療」ではなく、「健康寿命の延伸(healthspan)」へ注がれていることです。







