ストーリーは必ずしも
完璧でなくていい
『ボスマネジメント 「成果を出している人」が上司と話していること』(難波 猛 著、アスコム、税別1700円)拡大画像表示
それはそのまま上司が経営陣へプレゼンして予算獲得するための材料になるのですから、感情を込めすぎることも、過剰に飾ることもありません。自分の希望を通したいのであれば、「この話を受け取った上司は、どう判断するだろうか」「上司の上司である役員に説明しやすいか」という視点で、ストーリーを考えてみることです。
完璧である必要はありません。上司に興味を持ってさえもらえれば、あとは対話を通して具体的なストーリーを協力してつくっていくことになるからです。
逆に、上司が動きたくなるストーリーには、「未完成さ」が必要です。
「この方向で考えているのですが、どう思われますか」
「ここはまだ仮説ですが、現場としてはこう感じています」
こうしたやりとりがあることで、上司は「相談された側」「応援する立場」として関与しやすくなります。すでに結論が固まりきった提案よりも、改善余地のある途中段階のストーリーのほうが、実は合意形成は進みやすいのです。
また、今すぐすべてを変えたい、という要望は難易度が上がります。「まずは半年」「最初はトライアルで小さく試す」といった段階的な提案があると、上司の中で選択するハードルが下がります。
たとえば、異動の相談であれば、「いきなり配置転換」ではなく、「関連プロジェクトへの部分参加」「兼務」「該当部門上司との面談設定」など、選択肢を含んだストーリーにしてみましょう。そうすると、上司は「全部断る」のではなく部分的に受け入れられる確率が高まります。これはコミュニケーションテクニックで「二者択一法(ダブルバインド話法)」「松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)」と呼ばれます。
上司の事情や心理を無視したストーリーでは、どれだけ部下側に熱がこもっていても上司が行動する動機づけにはなり得ません。上司の立場を想像しながら、「この話なら現実的に動かせるか」「どのような流れなら動きたくなるか」という観点で自分のストーリーを点検してみましょう。
上司が合意しやすく、同じ方向を向いて考えてくれる状態をつくること。そのための材料として、ストーリーを部下から用意しましょう。







