「そういうわけのわからない人物っていうのは、どんな組織にもいるもんだよ。もしかしたら情報収集を終えたのかもしれないな。君がどんな人間なのかを探っていたのかも。手ごわい相手かどうかとか、いざというときに役立つような弱みはないかとか。いずれにしても、警戒すべき相手と心得て、今後気を許さず、距離を置くのがよさそうだな」
職場の仲間についての情報収集をするために、親しくつき合ってみる。そんな発想は自分にはなかったので、そんな人物が身近にいるとは衝撃だったという。
自己開示する相手は
しっかり見極めるべし
これまで親しげだった態度が、急にバカにしたような態度に変わって、どうなっているのか戸惑ったという人もいる。
「人当たりがよくて、こっちに対してかなり好意的に接してきたので、つい気を許してしまったんですね。まだ職場に親しく話せる友だちがいなかったので、しょっちゅう一緒にお茶を飲みに行くようになり、いろいろ胸の内を話してしまったんです。そうしたら、あるとき突然態度が豹変して、こっちをバカにしたような、勝ち誇ったような態度を取るようになったんです。
『裏表がありすぎる人』(榎本博明、幻冬舎)
どうなってるのかわからず、何か気分を害するようなことを私がしたのか尋ねると、『そんなこと何もないよ。あなたのことを知りたかっただけ。もうわかったからいいの』と言われたんです。きっと、私が何を思っているのか探ってて、それがわかったから、もうつき合う必要はない、っていうことですよね。こんな作為的な人もいるんだなって、何だか淋しいけど、勉強になりました」
手ごわい人物か、安心できる人物か。自分のライバルになりそうな人物か、たいしたことのない人物か。つながっておくと役に立ちそうな人物か、つながっていてもとくに役に立ちそうにない人物か。何かのときに取引に使えそうな弱みはないか。そのようなことを知ろうとしてつき合っていたのかもしれない。
相手が上昇志向の強い裏表人間の場合、人間関係も利用価値を計算して作為的に取り結ぶため、親しげな感じで近づいてきても、けっして気を許すわけにはいかない。
はじめのうちは、相手がそういう人物かどうかわからないが、よくわからないうちはあまりあけすけな自己開示は控えるのが賢明だろう。







