わざとらしいもち上げ方を平気でできるのも、だれもが自己愛によって素直に受け入れ、いい気持ちになることを経験的に知っているからだ。

 そのように人の気持ちをくすぐるのがうまい人物は、それによって自分が好意的にみられ、人事評価や配属や仕事の割り振りなど、何かのときに得をすることを計算している。

 なかにはそうしたあからさまな計算は意識していない人物もいるが、そのように振る舞うことで自分が好意的にみられることを心のどこかで感じている。

 そうなると、周囲の感じのいい人物、とくに過剰にほめてくる人物の中に裏表人間がいる可能性があるので、しっかり見極める必要がある。うっかりするともち上げられて気分がよくなってしまうものだが、そこは要注意である。

 もちろん害のない場合もある。単に対人不安が強く、嫌われるのが怖いという気持ちが強いために愛想よくしているだけで、とくに裏表があるわけではない人物もいる。

 だが、あまりにわざとらしくほめまくる場合は、裏があると疑う必要があるだろう。

とくに警戒すべきなのは
相手によって態度を変える人物

 危険な裏表人間を見極める基準のひとつに、相手による使い分けが露骨ということがある。

 だれに対しても感じがよく、相手のご機嫌を取るのが習慣化している人物というのがいるものである。その中には、それによって好意的な処遇を期待している人物もいれば、人のご機嫌を取ることで単に好かれたいという人物もいるだろう。

 だが、とくに警戒すべきは、だれに対しても感じがいいのではなく、周囲から軽んじられている人に対してはきつい言動が目立つ人物だ。

 感じのいい後輩だと思っていたのに、ある先輩に対する態度を見て認識を改めたという人もいる。

「いつも『忙しそうですね』『何かお手伝いできることありますか?』などと親切な言葉をかけてくれ、明るい笑顔で接してくれる感じのいい後輩がいるんですけど、私生活重視に徹しているため昇進に興味のない他部署の先輩に対して、ぞんざいな態度を取ってるのを見て、非常に嫌な気持ちになりました。私に対する態度とまったく違って、先輩に対する敬意が全然感じられず、むしろバカにした感じなんです。

 それを見て、私に対する感じのいい態度は戦略的なものなのかもしれないし、信用できない人物だなと思うようになりました」