そもそも、「独立系書店」とは定義が難しい言葉です。極端に言えば、うちの店だって大手チェーン書店の系列ではないという意味では独立系です。とはいえ、一般的には、ここ10年ほどで若い世代が続々と開店させてきた、10坪前後の小さな書店を指して「独立系書店」と呼称することが多いようです。

 こうした書店が、10年後にどれだけ生き残ることができているのか。個人的には、相当シビアな現実が待っているのではないかと思っています。なぜそう思うのか。

 たとえば、みなさんはSNSでこんな悲痛な叫びを見かけたことはありませんか?「今月の売上が壊滅的です。よかったら本を買ってください」。こうした呟きが何千回も「いいね」されて、「大変だ。みんなで本を買って支えよう」「オンラインストアで注文しよう」という声が集まる。1度だけなら、それで難局をしのげることもあるでしょうが、さすがに2度、3度と同じことを繰り返すのは難しい。

 近年、新聞や雑誌で好意的に取り上げられる独立系書店ですが、私としては、ごく一部の成功例の陰で、人知れず撤退していった店舗もかなりの数に上ると睨んでいます。

 書店の経営を考える時、独立系か大手かという区別よりも、実はもっと大きいのが「オーナーが身ひとつでやっているか」、それとも「人を雇っているか」という差です。

 土地と建物を自前で所有し、オーナーひとりで切り盛りしているなら、たとえば月商100万円でも20万円少々の取り分となって、どうにか食いつないでいけるでしょう。

 書籍の粗利率でもっとも一般的なのが22%なので、100万円の売上で20万円ちょっとの利益が出ます。この数字は、2000円の単行本が500冊売れれば100万円なので、けっして非現実的な数字ではありません(月に25日店を開けるとして、1日あたり20冊を売らなければいけないので、きついと言えばきついですが……)。

 そう考えると、個人ひとりの生活を維持する規模なら、今でも書店という商売はぎりぎり成り立つのです。