さらには欧米諸国がロシアに経済制裁を決定したことで、中国系やロシア系を除くコンテナ船社は、ロシア向け貨物輸送を一斉に停止しました。アジア発欧州向け航路におけるロシア向けのシェアは4%程度、ウクライナ向けのシェアは1.5%程度でした。
両者を合わせると月間荷量で8万TEU程度(編集部注/1TEUは長さ20フィートのコンテナ1個分)の減少になります。決して大きなシェアとは言えないものの、ロシア・ウクライナ関連貨物がなくなったことで欧州航路の需給は軟化しました。ロシア方面への積み替え港であるロッテルダムやアントワープでも取扱量が減少しました。
物流ルート変更が
世界のコスト高を長引かせている
船舶ではありませんが、シベリア鉄道経由のコンテナ輸送が大きく減少しました。ウラジオストクやボストーチヌイなど極東ロシアから鉄道を使って欧州へ貨物を運ぶシベリアランドブリッジについては年間100万TEU程度の輸送量がありましたが、これが大きく減少しました。
ロシアの海運会社FESCOのアニュアルレポートによると2022年においてアジア・欧州間の通過貨物量が25.6万TEU減少したとのことです。2023年も輸送量が減少したとの記載があります。
『コンテナ海運が世界を動かす』(松田琢磨、KADOKAWA)
中国から欧州へ向かう中欧班列を使った鉄道輸送貨物も減少し、カスピ海方面からロシアを回避するルートへの変更が行われました。その結果、欧州航路のコンテナ貨物輸送量を底上げする結果となりました。
またウクライナ情勢による世界的なエネルギー価格の高騰に伴いバンカー燃料価格も高騰を続けており、輸送コストの高止まりにつながっています。
もう1つのリスクと考えられていたのは、ドライバーの供給です。コンテナ貨物を運ぶドライバーにはウクライナ人も多いためです。ただ、ロシアによるウクライナ侵攻もドライバー不足の要因の1つとなったものの、コンテナ輸送が減少している状況であるため、大きな問題とはみなされていません。
ちなみに両国は船員供給国でもあり、世界における2024年の船員数159万人のうち、ロシア人船員は約7.8万人、ウクライナ人船員は約6.5万人に上り、それぞれ世界第4位と第5位となっています。







