大同生命は定期保険が成約した場合、税理士に成功報酬を払っているが、まさに顧客(この場合は税理士)に販促をやってもらう戦略で、地理的に分散している中小企業へのチャネルのトレード・オフを解決したのである。

 さらに、ATM利用者にサービス提供するためのコスト要因であった紙幣を、飲食店等の売上を入金するサービスでまかなっただけでなく、手数料をもらうビジネスにしたのがセブン銀行である。セブン銀行は、事実上ATMに特化した銀行であるが、顧客の多くが出金しに来るため、ATMに紙幣を常にストックしておく必要があった。紙幣の補填は警備保障会社などに委託する「コスト」であったが、それを飲食店やフランチャイズ店の売上を預かる「収入」(その入金でも、セブン銀行は手数料をもらっている)に変えてしまったビジネスモデルである。

「受け取り時間を選ばせる」が
再配達削減につながった

(2)顧客に選ばせる

 これは、顧客に選択させることによって、顧客満足の獲得と企業コストの削減の同時達成をする方法である。

 ヤマト運輸が業界で最初に始めた宅配便の配達時間指定は、「いつでも良いから運べば良い」という物流システムと比較すると、物流スペックを詳しく指定し、管理も難しくなり、コストアップしそうな気がする。

 しかし顧客に配達時間を選んでもらうことによって、「行かなくてよい時間」「行っても不在な時間帯」を除くことができるようになった。すなわち、「空振り」の時間帯が前もってわかる。顧客にとっては確実に受け取れるのと同時に、ヤマト運輸は1回の配達で済み、顧客満足と物流コストのトレード・オフが解決されたのである。

 タクシーアプリによるタクシー予約も、タクシー会社にとっては、管理が難しくなるように見えるが、乗車したいポイントを時間的・空間的に限定するため、顧客とタクシー会社の正確なマッチングが図られる。これによって、タクシー会社は「流し」という無駄な走行を減らし、確実に需要のあるポイントに直行できる。他方利用客にとっては、自分でスマホを操作することによって、流しの車が通らず、いつまでたっても車が拾えない状態から解放される。