このように考えれば、不確実性が高い状況でマッチングが必要なビジネスにおいて、顧客に時間や空間を選ばせることは、トレード・オフ解消の1つの方法になりうる。
時間を選択すると考えれば、「予約制」は昔からあった顧客の選択であり、需要の変動が事前に読めない病院、レストラン、自動車教習所、携帯電話ショップ、銀行の窓口にも広がった。
アミューズメント施設のファストパスも、この仲間である。さらに、従来予約不要が原則であった役所、コールセンターや、先着順が唯一のルールであった所にも、顧客が選択する仕組みは導入可能であろう。
他にも、予約制を採っていない人気ラーメン店などで、予約が取れる有料サービスを提供する会社として、(株)TableCheck(テーブルチェック)がある。もともとは予約制を採っていないが、行列が長い店に並ばなくて良い権利を売る会社である。
テーブルチェックは、390~500円程の「テーブルチェック・ファストパス」を発券し、人気店に並ばなくても入れる仕組みを作った。ファストパスは、事前にクレジットカードで決済できる。これによって、もともと予約制を採っていなかった店舗に関しても、消費者は多少の手数料を払うことで、長い行列を回避できるようになった。
「欲しい度合」で
競わせる
(3)顧客を競わせる
人気のある製品・サービスを購入する場合、抽選販売は一見公平な印象を与える。しかし必死の覚悟で本気で応募してきた人と、「とりあえずしておこう」と応募した人とでは、期待度合が全く違う。
顧客満足(CS)は、「期待水準-実現水準の差」で決まるため、期待度合の高い顧客が落選すると、その落胆は大きく、企業へのロイヤリティも低下してしまう。そのため、全体としてのルールの公平性は保ちながらも、対価を払っても期待を実現したい顧客を競わせることによって、トレード・オフを減らすことが考えられる。







