4月30日、一時1ドル=155円台まで上昇したドル円相場。4月28日から5月27日にかけて、総額11兆7349億円の為替介入が行われた Photo:JIJI
政府と日本銀行は4月28日から5月27日にかけて、総額11兆7349億円の為替介入を実施した。前日銀総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「為替介入の誤解」。円買い資金が不足するため為替介入には限界があるという主張の勘違いとは?
ドル売り円買い介入の資金は限られる?
為替介入を巡り発信される誤解
財務省は5月29日、4月28日から5月27日にかけて、政府と日本銀行が総額11兆7349億円の為替介入を実施したと発表した。為替介入は2024年7月以来、約1年9カ月ぶりとなる。
私も財務官を務めていたとき(1999年7月~2003年1月)に為替介入に関わった経験があるが、為替介入が注目を集めると、メディアやアナリストなどからさまざまな意見が発信される。ただし、こうした声の中には、誤解も交じっている。
最近では、日本の為替介入について、すぐに使える外貨預金は限られているので、大規模な外貨売り円買い介入は難しい、というようなコメントが出ている。だが、これは誤りだ。
財務省の発表によれば、現在の日本の外貨準備高(金などを含む)は1.38兆ドルに及んでいる(4月末時点)。このうち国債など証券を含む外貨準備は約1.17兆ドルで、大半はドル資産ではあるものの、ニューヨーク連邦準備銀行などへの預金は1600億ドルほどとなっている。そのため、為替介入にすぐ使える外貨は1600億ドル程度に限られる、という主張である。
外貨準備の大半は米国債で運用されているため、大規模なドル売り円買い介入を行うためには、ドルを調達するために米国債を売らねばならず、これは米国債金利の上昇を招くため、米財務省が反対するだろう、という言い分である。
しかし、これは間違っている。







