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本との出会いは、人生を変える。著者の思想に触れ、世界が広がる。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「影響を受けた経済書」。黒田氏が振り返る、自身の原点となった15冊と、あえて海外学者の原著を読む意義とは?
黒田氏が影響を受けた経済書とは?
安保闘争を機に出会ったカール・ポパー
国内外のさまざまな経済書を読み、影響を受けた本も少なくない。有名な著作については、解説や批評も多く存在する。だが原著を読むと、そうした前評判とは違った感想を持つこともある。
最初に思い出の本と出会ったのは、1960年の安保闘争の頃だ。私は東京教育大学附属駒場中学校(現・筑波大学附属駒場中学校)の中学3年生から高校1年生だった。日米安全保障条約の改定について国民の反対運動が起こり、多くの生徒は反対していた。だが私は、反対論陣を張っていたマルクス主義者たちの主張についていけなかった。
そのとき、オーストリア出身の哲学者カール・ポパーの『歴史主義の貧困』の翻訳を読み、マルクス主義の誤りを知った。そこで、ポパーの歴史哲学の基礎にある科学哲学を理解したいと思い、彼の『科学的発見の論理』の英語版を丸善で手に入れて読みふけっていた。
これは、ドイツ語の原著をポパー自身が英語に訳し、注釈なども充実させた本であり、原著といってもよいものだった。それでも、ポパーに引かれた私は、ぜひともドイツ語の原著を読みたいと考え、高校でドイツ語の授業を受けた。だが到底、歯が立たなかった。







