10兆円為替介入は「無駄撃ち」なのか、構造的円安でも“160円定着”を阻む当局の勝算Photo:AFP=JIJI

原油高に伴う貿易赤字拡大懸念を背景に、ドル円は一時160円台に乗せた。市場では「構造的円安の中で円買い介入の効果は乏しい」との見方が根強い。だが、実需の円売り圧力を検証すると、10兆円規模の介入は投機的円売りをけん制し、円安抑止に一定の効果を持つ可能性がある。(SMBC日興証券 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎)

10兆円規模の円買い介入は
本当に「無駄撃ち」なのか

 原油先物価格の高止まりが続き、我が国の貿易赤字拡大への懸念あるいは原油高に伴うインフレ高進への思惑から円が売られ続け、ドル円も幾度か160円台に乗せるような展開が続いた。

 本邦当局による口先介入が相次ぎ、実際の円買い介入がどのレベルで行われるのかとの関心が強まるなか、大型連休入り直前の4月30日に、本邦政府による円買い介入が行われたもようだ。

 日本銀行が公表する「当座預金増減見通し」と市場予想の間に生じた差異から、4月30日の円買い介入は5兆円超であったと推察されている。

 日本の大型連休中にも円買い介入が入ったことをうかがわせるような動きが観測されている。「日銀が7日夕方に公表した8日の当座預金残高の見通しで、介入を反映する財政等要因の減少額が4兆5100億円だった」とされ、4月30日と合わせ、計10兆円規模の介入が行われたとの推察が支配的となっている.

 多くの市場参加者、特にアナリスト、エコノミストから聞こえるのは「構造的円安のなかでの円買い介入は効果に乏しく、いずれドル円が160円台に回帰するであろう」との声である。

 果たして、介入は効果に乏しく円安を食い止められないのか。次ページでは需給要因、当局の姿勢などから検証する。