「セブンペイ」の不正利用、商品の無断発注…。コンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンで、失策や不祥事が止まらない。今回新たに発覚した残業手当の未払い問題は、2001年に指摘されながらも公表せず、その後も続いていた。コンビニ業界では社会保険未加入問題など深刻な労務問題が他にも手つかずのまま残っている。セブンはまともに対応していけるのだろうか。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
2001年の労基署勧告で発覚も是正で誤り
従業員3万人の4億9000万円が未払い
「法令の理解が十分ではなく、計算式を誤った」――。
コンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)は10日、加盟店従業員の給与計算を誤り、8129店舗の3万405人分、遅延損害金を含め計約4億9000万円分が未払いだったと公表した。同日記者会見して謝罪した永松文彦社長ら幹部は、その原因を追及されると冒頭の言葉を繰り返した。
SEJなどのコンビニの従業員は、店舗の大半を占めるフランチャイズ加盟店の場合、加盟店のオーナーが雇用する。そして本部は、従業員の給与計算を代行している。
ところがSEJ本部は、加盟店の判断で勤務態度の良い従業員に上乗せする「精勤手当」や、リーダー格の従業員に上乗せする「職責手当」の割り増し率を誤っていた。
最初に発覚したのは2001年。労働基準監督署の加盟店への是正勧告がきっかけだった。固定給ではなく、時給制の従業員に対し、前出の手当が給料の支払い時に反映されていないと指摘されたのだ。手当そのものが設定されたのは1978~80年ごろだったが、それ以降もこうした状態が続いていた。