さらに、米国ハーバード大学のLea Borgi(リー・ボルギ)博士らの報告(編集部注/「3つの前向きコホート研究における果物と野菜の摂取量と高血圧の発症率」『Hypertension』第67巻、第2号、アメリカ心臓協会、2016)によれば、3つの前向きコホート臨床研究で18万7453人につき18~26年間の追跡調査を行った結果、果物野菜の摂取頻度が週4食以上であれば、高血圧の発症リスクは8%の有意な低下が認められたことが報告されています。

 この報告では特に高血圧発症リスクを低下させる効果のある果物野菜として、レーズン、リンゴ、ニンジン、ブロッコリー、大豆食品(豆腐を含む)などが挙げられております。したがって、これらの臨床試験により、果物野菜を多く食べると血圧が低下するということは証明されているのです。

果物や野菜のカリウムが
血圧を低下させるメカニズム

 果物野菜の摂取が血圧を低下させるしくみの一つとして考えられているのは、果物野菜がカリウムを多く含むことです。摂取した果物野菜からカリウムが吸収されて血液中にカリウムが入りますが、血中カリウム濃度が増加すると、体は細胞の中にカリウムを取り込みます。その際、細胞内のカリウムが増加すると細胞内のナトリウムがナトリウム-カリウム交換作用によって血液中にナトリウムが放出されます。

 血液中のナトリウム濃度が増えると腎臓でのナトリウムの再吸収が抑制され、尿中へのナトリウムの放出とともに利尿により血圧が下がります。

 腎臓でナトリウムとカリウムの調節を行っているのは、ナトリウム-クロライド交換輸送体というイオン輸送体であり、ナトリウム-クロライド交換輸送体が活性化するとナトリウムを体にため込み血圧が上昇し、逆にナトリウム-クロライド交換輸送体の働きを抑えるとナトリウムが体外に出ていくことで血圧低下が認められます。

 また、ナトリウム-クロライド交換輸送体の働きが抑えられると、尿中にカリウムをたくさん排泄することができます。カリウムをたくさん摂取すると、尿中にカリウムを排泄するためにナトリウム-クロライド交換輸送体の働きが抑えられ、その結果、ナトリウムの再吸収が抑制され、結果としてナトリウムが排泄されることから、血圧が低下します。つまり、果物野菜摂取によってカリウムを摂取すると、体内のナトリウムを体外に排泄するため、減塩と同じ効果が得られ血圧を低下させることができると考えられています。