AI向けで急拡大の高性能メモリー
エヌビディア強者連合のすごみ

 これまでメモリー半導体といえば、GPUやCPUのような演算装置と比べて、一般的に単価は低かった。そのため、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンなどの有力メーカーは、半導体市況の浮き沈み(通称シリコンサイクル)の影響を受けやすかった。

 市況が悪化すると、赤字に転落することもあった。IT先端分野の中でも、GPUに比べるとメモリーは、どちらかといえば脇役的な存在と考える投資家もいた。

 ところが、AIによってメモリーの位置付けが急変している。HBMはGPUと組み合わせてAI開発に不可欠な戦略物資になった。RTXスパークの登場は、メモリーの重要性を一段と高く押し上げることになるだろう。

 エヌビディアは、RTXスパークの投入により、AIデバイスとしてのパソコン需要をも取り込もうとし始めている。今後、パソコンに使うDRAM、フラッシュメモリーに関しても、電力消費性能、データ容量、転送速度の重要性は高まる。そうした見方から多くの投資家は、エヌビディアとの関係を強化する米韓のメモリー3社を買い上げている。

 ある意味、1兆ドルクラブに入る条件は、こうしたAIの強者連合に入ることといえる。それは、エヌビディアとのシェアを縮められないAMDや、チップの回路線幅の微細化につまずいたインテルが、クラブメンバーに名を連ねていないことからも分かる。

 現在、残念ながら、わが国企業は1兆ドルクラブに名を連ねていない。6月1日、ソフトバンクグループの株式時価総額は一時、トヨタ自動車を上回った。実に約22年ぶりの首位交代だ。キオクシアも急伸しトップ3にランクインした。

 このように国内ランキングに大きな変化がある一方で、日本の有力AI関連企業が1兆ドルクラブ入りするには大差がある。まだ、4倍近い株価の上昇が必要だ。

 世界の投資家の関心を引き付けるには、AI分野の事業戦略を明確にすることが、日本企業が1兆ドルクラブ入りを目指す必要条件といえるだろう。