日本は今のままでは
AIの大波に乗り遅れてしまう
もちろん以前と比べると、半導体の部材、製造装置などの分野で業績期待が高まった日本企業は多い。オープンAIやアンソロピックなどと提携し、企業に対してAIによるデータ分析などを提供する事例も出てきている。
それは重要な良い変化なのだが、一方でエヌビディアなどのように、AI分野で新しいモノやサービスを生み出した企業は見当たらない。この状況が続けば、日本はAIの世紀に乗り遅れることになるだろう。
今、日本企業に必要なのは、世界の消費者が欲しいと思う高付加価値なモノやサービスを創出することだ。過去、ホンダのCVCCエンジンを搭載したシビックや、ソニーのウォークマンあるいはトリニトロンテレビは代表例だ。いずれも、世界中にファンをつくった。
こうした高付加価値なモノやサービスを提供したことで、日本経済の成長は加速した。その結果、1989年に日本経済は世界経済の9%を占めるまでに成長したのである(IMFデータ)。
しかしその後、日本企業は水平分業や、IT化への遅れなどで競争力を失った。2025年、世界のGDPの3.3%まで、日本経済の地位は低下している。30年には3%を下回る見通しだ。
AIの時代、半導体の開発ペースは急加速している。有力企業が集積する米韓台では、TSMCやサムスン電子などが1工場で数兆円単位の投資を毎年行い、新しいモノやサービスの創出を急いでいる。わが国でもそうした動きはあるが、規模とスピードの両面で互角に勝負できていない。
厳しい状況だが、今ならまだ間に合うはずだ。日本には、世界が必要とする微細で精緻な製造技術がある。要素技術を成長期待の高いAI関連分野に投入し、世界が必要とするモノやサービスを生み出すことはできるはずだ。
そのために絶対必要な要件は、経営者の意思決定だろう。トップの英断で、新しい高付加価値製品を生み出すことにコミットすることが求められる。
そうした判断は、日本経済の中長期的な展開にも欠かせない。今、AIがもたらす加速度的な変化に、日本は官民で乗り遅れてはいけない。








