富裕層でなくても通用する
「贈り物の流儀」

 接待や贈答の場面でも、この視点はそのまま応用できます。「相場よりやや高いものを贈れば、相手は喜ぶだろう」――多くの場合、この発想は外れます。価格は伝わりますが、思いは伝わりにくいからです。

 そして、これは富裕層だけの話ではありません。手土産も贈り物も、本質は金額ではないからです。

(1) 相手のことを深く考えたオリジナリティがあること
(2) 世界に一つの、唯一無二であること
(3) 自分でなければ届けられないもの、自分にしかできないものを選ぶこと

 この三つが揃ったとき、贈り物は初めて、相手の心を本当に動かします。

 自分にしか差し出せないものは何か。それは、自分の業界で培った独自の知見かもしれません。相手と一緒に過ごした時間を形にした記録かもしれません。趣味や手仕事の領域から生まれた、世の中に流通していない一品かもしれません。

 原価100円であっても、それが「あなたのためだけに、私の時間を使って整えたもの」であるなら、10万円の高級品を超える感動を生みます。

 本物の富裕層は、贈与の頂点が、お金から最も遠い場所にあることを、長い贈答の経験の中で静かに悟っているのです。